監修/日比野佐和子先生

 加齢による女性ホルモン・エストロゲンの分泌量の低下は、人間の体の仕組みとして避けることはできませんが、その減り方を緩やかにしたり、バランスを整えたりすることは可能です。次のようなポイントをおさえておくとよいでしょう。

<大豆製品を摂る>
 大豆に含まれるイソフラボンという成分は、体内でエストロゲンと似た働きをしてくれます。ただし、子宮内膜症や子宮筋腫の人は控えたほうがよいといわれているので注意を。

<バラの香りをかぐ>
 バラの香りには、ホルモンバランスを整える働きがあることが分かっており、月経前症候群や更年期症状の緩和に活用されています。精油やハーブティーなどで取り入れてみましょう。

<オキシトシンを味方に>
 愛情ホルモンともいわれるオキシトシンは、ストレスや痛みの緩和、安眠をもたらす働きもあるホルモン。ペットをなでたり、愛情や思いやりを感じたりすることで活性化できます。

■朝のタンパク質がやせやすい体をつくる

「ダイエットしたいのなら、朝食は絶対に抜かないこと。朝食を抜くと、昼食後の血糖値が急激に上がるという研究データが出ています」と日比野先生。血糖値が急激に上がるとインスリンが大量に分泌され、それによって脂肪が蓄積されやすくなってしまいます。体に脂肪をためないためには、血糖値の急上昇を防ぐことが大切なのです。

 そして、必ず摂るべきなのがタンパク質。朝食に卵や肉などのタンパク質を摂ると、食事誘発性熱産生(DIT)※が上がります。近年では35度台以下の低体温の人も多くなっていますが、朝食でタンパク質を摂れば体温も上がりやすくなります。実際に先生も朝食を食べる習慣で、低体温を解消したそう。

「タンパク質は大事です。エネルギー代謝には、タンパク質に加えて糖質や脂質、ビタミンB 群なども必要で、バランスが大切です。ですから、極端な糖質制限はすすめられません。プチ糖質制限程度ならよいのですが、極端に糖質を減らすとタンパク質や脂質の割合が増え、腎臓や肝臓、すい臓に負担がかかってしまいます」

 ちなみに、ダイエットの効果を出していくには、1日の食事のボリュームを、朝5:昼3:夜2の割合にしていくのがよいそう。また、朝食にタンパク質を摂ることは、夜の睡眠にも好影響を与えることが分かっています。朝食をしっかり食べることを軸に、1日の習慣を組み立てていきましょう。

■教えて!日比野先生の「朝」の習慣

<毎朝決まった時間に起き太陽の光を浴びる>
「朝は、太陽の光で自然に起きるので、目覚まし時計は必要ないんです」。ほぼ毎朝6時にすっきりと起きられるそう。90分単位の睡眠時間を意識し、太陽の光が差し込むよう、寝る前に遮光カーテンを開けておくのがコツだとか。

 毎朝同じ時間に起きて朝日を浴びていると、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌サイクルが整い、体内時計も整います。内臓の働きやホルモンの分泌が活性化し、太りにくい体づくりにも役立ちます。

<巡りをよくするストレッチでむくみを解消!>
「朝起きると顔がむくんでいるのは、寝ている間に体を動かしていないから。むくみ解消のため、朝はストレッチを習慣にしています」。寝たままベッドの上でできる脚のストレッチの他、肩甲骨をほぐすストレッチで顔のむくみもケアしています。

<朝食をしっかり食べて脂肪を燃焼!>
 DITは朝から昼にかけて上がるため、 朝食を食べることは脂肪の燃焼につながります。日比野先生の朝のメニューによく登場するのは、全粒粉を使って自分で作るパン、卵、きのこ類、ヨーグルトだそう。DITを上げるタンパク質、糖質や野菜をバランスよく食べています。

 後編(【続き】太りやすい体質の女医が実践する健康習慣 おやつは何? 寝る前の過ごし方は?)では、日比野先生の昼の習慣、夜の習慣をご紹介します。

監修/日比野佐和子(ひびの・さわこ)先生
医療法人康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾統括院長。大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了。医学博士。日本抗加齢医学会専門医。内科医、皮膚科医、眼科医。大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学講座特任准教授。現代医療を踏まえ、欧米のアンチエイジング医学、中医学、アロマセラピーなどを取り入れた診療で定評がある。アンチエイジングドクターとして各メディアで活躍中。

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