■サンシャイン水族館は異色コラボ
水族館は、動物園より入館料が高い傾向にあり、水槽の電気代などかかる経費は莫大(ばくだい)だ。
東京・池袋にあるサンシャイン水族館は、マンガやアニメが人気の「名探偵コナン」や音楽グループの「EXILE」など、意外なジャンルとのコラボをきっかけに、普段は水族館に足を運ばない人たちを呼びこんでいる。
5月15日まで行われたコナンとのコラボでは、オリジナルフォトスポットの設置やオリジナルグッズの販売が行われ、多くの人が詰めかけた。
「水族館には大学生のとき行ったくらいで、普段は行かないですね。でも、コナンのイベントなら、確実に行きたいです」(コナンファンの30歳女性)
現在は、8月28日まで午後6時以降、館内の水槽で、EXILEのメンバーがプロデュースした演出を行っている。
7月上旬の平日の夜、館内はEXILEのポップな音楽が流れていた。クラゲでいっぱいの「クラゲパノラマ」水槽の前には、スマホを持った人たちが集まった。音楽に合わせて、クラゲの水槽に光が照らされる。この水槽を見ていたEXILEファンの埼玉県の40代女性は言う。
「水族館は子どもが小さいときに来て以来だから、20年ぶりくらい。週末もEXILE目当てに来たけど、人が多くてゆっくり見られなかったから、今日は仕事帰りにふらっと来てみました」
昨年は「うっせぇわ」がヒットした歌手のAdoさんとコラボした。運営会社のサンシャインエンタプライズの二見武史部長は、こうした意外なコラボについてこう話す。
「普通の水族館だとなかなかこうした企画は難しいかもしれませんが、ショッピングができて展望台などいろいろな施設のあるサンシャインシティという大きな複合施設だからこそ実現できる企画があったり、さまざまな層のお客様に訴求できる企画が実現するのです」
■水族館でお化け屋敷
サンシャイン水族館は企画展も意外性にあふれている。2014年の「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどく展)」は名古屋や福岡などの主要都市で巡回展が開かれているほどヒット。その他、お化け屋敷プロデューサー・五味弘文氏の全面プロデュースによる「ホラー水族館」は4回、海の生き物たちの「性」に関するコンテンツを体験できる「性いっぱい展」は3回も開催するなど大成功した。
「例えば、もうどく展は、飼育する者からすると『毒を持つ生き物展』という発想になるのですが、今風に切り口を変えて、宣伝など他の担当者の知見も入れながら、もうちょっとお客さまの心に刺さるものはどうだろうと考えた結果、こうしたタイトルになりました。入場120分待ちになるほど反響をいただきました」
(編集部・井上有紀子)
※AERAオンライン限定記事