鉄道への造詣が深い地理・地図研究家、浅井建爾氏の新著『読めば読むほどおもしろい 鉄道の雑学』からの抜粋で、鉄道にまつわる素朴な疑問をわかりやすく読み解く。今回は、JR山手線を一周した際の運賃、乗車券を紛失してしまった場合の対応、それぞれの疑問に答えよう。
乗車した距離ではなく、
乗車駅と降車駅の最短距離で計算
暇つぶしだったり寝てしまったりして、山手線を一周した経験のある人もいるだろう。その場合の運賃はどうなるのか。初乗り運賃の乗車券で山手線を一周し、隣の駅でそのまま下車したことを自慢にしていた人がいたが、これは不正乗車である。見つかれば処罰の対象になる。
山手線は一周34.5km。JRの普通旅客運賃は31~35km区間が580円なので、山手線を一周する運賃も580円かというとそうではない。山手線は大都市近郊区間内の運賃が適用されるので、実際に乗車した経路に関係なく、乗車駅と降車駅の最短距離で運賃が計算される。
たとえば、東京駅で乗車して外回りで品川―渋谷―池袋―上野を経由し、東京駅手前の神田駅で下車した場合、乗車距離は33.2kmだが、東京駅から神田駅までの運賃が適用される。したがって、神田駅から東京駅までの運賃を加えれば、山手線を一周できるのだ。東京―神田間の運賃は140円なので、その2倍の280円で山手線を一周できる。