東京パラリンピックは9月4日、陸上女子400メートル(T13)決勝があり、佐々木真菜(24)が出場する。AERA2021年1月25日号のインタビューを紹介する(肩書、年齢は当時)。
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レース前に手のひらを合わせ、前に伸ばし、真ん中の位置を確認する。これが佐々木真菜のルーティンだ。弱視で約1メートル先までしか見えないが、レーンの感覚を自分の中に入れることで、白線にとらわれずに思い切り駆け回る。
福島県立盲学校(現・視覚支援学校)高等部1年だった2013年。ジャパンパラ陸上の800、1500メートルで優勝した直後に2020東京大会の開催が決定。だが、パラリンピック種目で佐々木の障害クラスには中長距離がなく、400メートルに転向を決めた。
短距離種目は割り当てられたレーンを走る。レーンによってもカーブの角度は異なるため、トラックの白線がぼんやりとしか見えない佐々木は当初、走るのも怖かったという。その恐怖感は、数年間走りこんで感覚を身に付けて克服した。
卒業後は女子400メートルの日本記録保持者や日本代表が所属する地元の東邦銀行陸上競技部へ。監督やコーチは理解しやすいよう「最初の5歩はグングングングンと地面を押して」などと擬音語や擬態語を交えて説明してくれる。恵まれた環境の中、3年間で6秒近くタイムを縮め、パラリンピックの内定を得た。
中学部時代は福島第一原発事故や校舎の耐震工事の影響で2年以上の間、主に屋内のランニングマシンで練習した。
「いまも屋外を走るときの風を切る感覚が本当に楽しいんです」
生まれ育った福島から金メダルを目指す佐々木の走りは、喜びにあふれている。
(編集部・深澤友紀)
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■陸上競技
基本的なルールは一般の競技と同じ。車いすや義足・義手を使う選手、視覚障害、知的障害などさまざまな障害のある選手が参加するため、障害の種類や程度でクラスを分けて競技を行う。視覚障害クラスは全盲のT11は伴走者と必ず一緒に走り、重度の弱視のT12は伴走者をつけるかどうかは選手が選べる。軽度の弱視のT13は特別ルールがなく、オリンピックと同様の規則が適用される。
※AERA2021年1月25日号に掲載