
東京パラリンピックは9月3日、車いすテニスの女子シングルス決勝があり、上地結衣(27)が出場する。相手はD・デフロート(オランダ)。AERA2019年4月15日号で力強く語ったインタビューを紹介する(肩書、年齢は当時)。
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大坂なおみが優勝した1月の全豪オープンで、車いすの部女子シングルス準優勝。3年連続で決勝進出した上地結衣について「もっと評価されるべきだ」という投稿へのリツイートが2万件を超えたことが話題になった。
「恐れ多いけど、みなさんが車いすテニスを見てくれるようになった証し。東京では準備してきたことを全部出し切って金メダルをとりたい」と意気込む。
最大の壁が、全豪決勝でも2年連続で敗れたD・デフロート(オランダ)だ。身長143センチの上地より頭ひとつ高い170センチ台の体から男子並みの剛球を繰り出すライバルを封じる作戦を、上地は「相手の時間を奪う」と説明する。
磨いているのは深いドライブを打ち込んでからのバックハンドボレー。以前は2バウンドで拾ったボールを1バウンドで返す速攻を狙う。長いラリーで相手を揺さぶる自分のスタイルを変える。
「不安がないわけじゃない。でも、やらないとどの道負ける。やるしかない」
笑顔ではきはきと取材に応じ、海外でも人気者。日本人には珍しく自ら輪の中に入っていく一方、古風な面も。
「お世話になった人にお礼しなきゃとか上下関係を重んじるので、実は昭和生まれかと年齢詐称を疑われる」と笑う。
国枝慎吾ら先駆者への感謝も忘れない。
「遠征に誘ってもらったし、送迎の予約の仕方なども一から教えてもらった」
ビッグチャレンジは、きっと大きな恩返しになる。
(ライター・島沢優子)
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■車いすテニス
2バウンドが認められている以外は通常のテニスとほぼ同じルール。足を使って車いすを操作したり、地面に足をつけるのは原則禁止(特例あり)。打つ際に両方の臀部を浮かせてはいけない。バルセロナ大会から正式競技で、「パラリンピックに関する意識調査」(電通)によると、東京大会で観戦したい競技の1位。
※AERA2019年4月15日号に掲載