一方で、蒲焼きうなぎの1kg当たりの価格は、2021年6月で4748円。過去2年間の同月では、2020年が3713円、2019年が4795円となっており、今年の価格は昨年よりも高く、2019年並みの水準です。

 このような差が出る要因の一つは、飲食需要の低迷と小売り需要の増加です。生鮮うなぎはもっぱら飲食店向けのもの。コロナ禍でいまだ飲食店の営業時間短縮が続く中、飲食店向けの需要は低迷しているといえます。一方で、蒲焼きうなぎは小売店にも多く流通しています。内食需要が高まっていることを踏まえると、その違いにもうなずけます。

 しかし、先述の通り、昨年はうなぎの稚魚が豊漁。うなぎの供給を増やせるように思えます。それでも、蒲焼きの価格はなぜ下がらないのでしょうか。

 この要因としては、うなぎの豊漁がいつまで続くか分からないことがあります。そのため、リスクヘッジを踏まえて値下げをしない事業者も少なくないのです。また、蒲焼きは冷凍でストックしておけるため、市場への供給量がコントロールできることも要因の一つといえます。

 以上のような影響もあり、うなぎ蒲焼きの価格は、結局は平年並みになっています。ただ、供給できる量が増えているのと、生鮮うなぎの価格が下がっているのも事実で、局所的に安くなっているところも見受けられます。例えば、生鮮うなぎを仕入れて自前で蒲焼きを作っている魚屋などは価格低下の恩恵を受けやすいといえるでしょう。

■土用の丑でうなぎを食べる人の半数が食料品売り場で購入、正しい選び方は?

 さて、今回、土用の丑に関する消費者アンケートを独自に行ってみました。アンケートは、インターネット調査で7月20日に実施し、20代以上の男女1000人を対象としました。

 今年の土用の丑にちなんで、うなぎを「既に食べた」人と「食べる予定」と答えた人は、合わせて44.6%。「わからない」と回答した20.5%の一部が食べると考えると、少なくとも半分弱の人が土用の丑にちなんでうなぎを食べることが分かります。

 次に、土用の丑にちなんでうなぎを食べる人に、どこで食べる(買う)のかを聞いたところ、「スーパー・デパート・魚屋などの食料品売り場」と答えた人が48.9%と最も多く、2番目に多い「うなぎ専門の飲食店(店内)」17.5%と比較しても圧倒的でした。

 そうなると、気になるのが食料品売り場でのうなぎの選び方です。

 うなぎ加工事業者からは、「コロナ禍で、本来はうなぎ専門の飲食店に行くはずの良質なうなぎが加工に回っている」という話を聞きますが、実際に売り場を見てみると中には粗悪品が紛れていることも……。

 そこで続いては、食料品売り場でうなぎを選ぶ際に絶対にやってはいけないことについて述べていきたいと思います。

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やってはいけない「うなぎ選び」その1