高野山真言宗僧侶の塩田妙玄さんは、普段のお勤めのかたわら、ペットの供養、飼い主のペットロスの相談や、犬猫の動物保護施設でボランティア活動も行っている。
そんな多忙な毎日を過ごす中で、犬や猫の気持ちや言葉が聞こえることがあるという彼女の不思議な体験を漫画化した『ペットの声が聞こえたら 命をつなぐ保護活動編』(漫画・オノユウリ/朝日新聞出版)が7月20日発売された。それを記念して連載誌『HONKOWA―ほんとにあった怖い話―』の読者から彼女に届いたペットにまつわる疑問や質問に答えてもらった。
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みなさん、はじめまして、塩田妙玄です。トリマーやペットライターなど、さまざまな職業を経て、現在は高野山真言宗僧侶兼心理カウンセラーをしています。最近では、執筆業にも励みながら動物保護施設でボランティアもしています。
そんな活動を続ける中で、犬猫たちから学ぶことがたくさんあることを感じます。コロナ禍の中、人間は「かつての日常」をひたすらにじっと待つ、不自由な社会を生きていますが、犬や猫、うさぎ、鳥たちの行動は以前とまったく変わらず、ただただ今の環境を享受して生きています。
「紫外線」「注意報が出るほどのPM2.5」……など、人間目線でみている私からすると、気になることがたくさんあります。でも、動物たちはなぁんにも気にせず、昔と同じ行動様式で「今」を生きています。そんな彼らを見ていると「情報を知るばかりが幸せではないな」、そんなことを感じます。
今回は、読者から私の元に届いた3つの質問「ペットに日本語は通じているの?」「ペットを庭に埋葬するとき」「輪廻転生」について答えました。
■【質問1】亡くなったペットへお供えや、心の中で呼びかけた言葉は届いていますか? ペットに日本語って通じているんですか?
【妙玄さんからの答え】
亡くなったペットへのお供え、呼びかける言葉は、お供え物をポンと置くだけだったり、ただ手を合わせたりするのではなく、心を込めて行うことが大切です。動物たちの天国といわれている虹の橋にいるあの子にしっかり届くように呼びかけましょう。
例えば、お供えをする時も、あの子が生前うれしそうに食べていた顔を思い出してみてください。そんな時、あなたはどんな言葉をかけますか?
「ももちゃん、おいしい? よかったねぇ」「おいしそうに食べてくれてママもうれしい」、そんな言葉をかけながら、同時にあなたの中に、思わず笑みがこぼれるような感情が生まれていませんか?
あの子がお供えを食べている場面を「イメージ」して、その時のあなたの「感情」を思い出し、その時に感じた「言葉」をかけてあげてください。
「冥福を祈る」ということは冥途(=あの世)の幸せを祈る、という意味があります。あなたが込めたその「思い」があの子のご供養になるのです。ですので、日本語や英語という私たち人間の言語で伝わるのではなく、生前と同じように、あなたの気持ちや思いが、あの子へ伝わるものだと私は思っています。