写真はイメージです(c)GettyImages
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 毎年、小中高校では5000件前後の熱中症が発生している。医療技術の進歩により、死亡にいたるケースは減っているが、熱中症の発症件数に大きな変化はない。なぜ、学校では熱中症になる児童生徒が後を絶たないのか? 長年、学校における事故を研究し、Webサイト「学校リスク研究所」を運営する名古屋大学の内田良准教授は、最大の要因は部活動にあると指摘する。

【グラフ】熱中症による死亡事故、いつ起きている?

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 本格的な熱中症シーズンを前にした今年5月、環境省と文部科学省は「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」を初めてまとめた。

 柱となっているのは客観的な指標による熱中症対策で、「熱さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)」と「熱中症警戒アラート」の活用を促す。

 文科省はこの手引きを公表する2カ月前、各教育委員会に対して、熱さ指数を測定するWBGT計を最低限、保健室に備える備品として通知。今回の手引書によれば、熱さ指数31以上の場合、「運動は原則中止」となる。

 熱さ指数33以上、「非常に危険な環境が予測される場合」に発表される熱中症警戒アラートは、昨年から主要都市で試験運用が始まり、今年4月から全国展開された。環境省と気象庁のWebサイトなどで情報を得られるほか、登録すればメール配信サービスも受けられる。

熱さ指数計(撮影/米倉昭仁)
熱さ指数計(撮影/米倉昭仁)

■中学校では小学校の3倍以上に

 これまで国レベルではスポーツ庁などが教職員や児童生徒向けに運動中の熱中症対策の指針を示してきた。

 今回の手引書は「環境省と文科省が学校に特化した指針をつくった、という点では大きな前進」と、内田准教授は評価する。

 一方で「こういった指針は体育など、授業にしか適用されない」ことを危惧する。

「というのも、授業中はいまでもかなり徹底した安全管理がなされているんです。ところが、部活になったとたんに、試合に出ることや勝つことを優先して、安全管理が後回しになっている現実がある」

 この手引書にもそんな内田准教授の言葉を裏づけるデータが掲載されている。

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熱中症が最も多いのは高校1年生