アウトローと呼ばれる経歴を持つ人たちがYouTuberとしてデビューするケースが増えている。暴力団、半グレ、チーマー……その過去はさまざまだが、かつての「不良」たちが顔と名前を表に出して動画に出ている風景は、昔では考えられなかったことだ。今、こうしたアウトロー系YouTuberが次々と現れている理由は何か。世間を騒がせた半グレ組織「関東連合」の元最高幹部であり、IT動向にも詳しい柴田大輔氏にその背景を聞いた。
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――ここ最近、元暴力団や半グレなどいわゆる「アウトロー」だった人たちがYouTubeチャンネルを開設する動きが活発になっています。柴田さんはこの現象をどうみていますか。
アウトロー系に限らず、YouTubeをやる人の動機は主に3つに集約されると思います。(1)収益(2)承認欲求(3)自己の記録です。この3つのうちどこに比重を置くかは人それぞれですが、多くのアウトロー系YouTuberの目的は「収益」でしょう。つまり、YouTubeは儲かると思っているからやっている。その背景には、元不良としてかつてのように注目されたい、あるいは“言わずにはいられない”などの動機もあるかもしれませんが、やっぱりおカネにならなければ、わざわざ動画配信なんていう面倒なことはやりません。
なぜかといえば、もともとアウトローとして「表」に出ないことを矜持としてきた人間が、YouTubeで顔や名前をさらして昔のケンカ自慢をしたり、武勇伝を語ったりしても、普通はデメリットしかないからです。今やっている仕事に悪影響が出るかもしれないし、家庭があれば妻子が白い目で見られるかもしれない。そういうデメリットがあっても続々と参入してくるほど、いまアウトローは“メシが食えない”のです。
実際にチャンネルを始めたアウトローの中には、昼は肉体労働をしている人間もいます。でも、不良時代にはそこそこ名前が通っていた連中からすれば、過去の名声と現在の収入が釣り合っていないと感じてしまう。そんなとき、いま流行のYouTubeをやって儲けている奴がいると聞けば、「じゃあ俺も一花咲かせてやる」と思うんでしょう。