――アウトロー系YouTuberのなかでもエンターテインメントとしての作法がわかっている「玄人系」と、まだ不良としての地金が出てしまう「アマチュア系」に分かれているということなのかもしれません。ある意味でそこがひとつの魅力であり、本当に「ガチ」のケンカがみられるかもしれないという期待が視聴者をひきつけている部分もありそうです。
まだ成熟していないから面白い、とは言えるかもしれません。マーケットもまだピークアウトしていないので、そこに向けていろんなアウトローが参戦してくる熱気というのは、しばらく続くかもしれませんね。
ただ、YouTubeの世界では不良の「格」は関係ない。「不良としては俺が上なのに、なんであいつの方が人気があるんだ」みたいな理屈で考えているうちは、まず成功しないでしょう。ローカルの狭い地域で有名になったくらいの不良が、YouTubeという大きなプラットフォームで戦うのは簡単じゃないことは理解しておくべきです。
それともう一つ、沖縄の暴走族がここ10年で激減したというニュースがありますが、理由はスマホが普及したからだそうです。バイクをいじるよりも、スマホをいじるほうがコスパがいいんだとか。つまり、今後もYouTubeがきっかけでリアルな事件が起きていくかというと、この沖縄の暴走族と同様、YouTube規約が厳しいことに加え、アウトローたちがYouTubeで好きなことをやることに充実感を覚えたりして、結局、リアルな争いよりも平和的な“プロレス的”争いに集約されていくんじゃないかと思います。
――今後YouTubeにおける「アウトロー系」という市場はどうなっていくと思いますか?
元不良が個人として名前を出してやっていく今の形だと、3年後にはほぼ消えていると思います。
そもそも、マーケット自体がさほど大きくはなく、アウトロー系の実話誌などを熱心に読んでいた人たちがYouTubeに移行しているだけで、このパイが飛躍的に拡大することはないからです。