衆院の任期が切れる10月まで、あと4か月ほどだ。このように、自民党同士で対立する小選挙区は他にもある。衆院新潟2区は、現職の細田健一衆院議員と前回、野党候補として勝利した後、自民党入りした鷲尾英一郎衆院議員がしのぎを削っている。
細田議員は自民党から、鷲尾議員は旧民主党など野党から出馬し、過去3度の直接対決は、2勝1敗で細田議員に軍配があがっている。
だが、鷲尾議員が自民党入りし、二階派の所属も認められたことで、どちらが自民党の公認となるのか、未だに決まっていない。自民党所属の地元県議は言う。
「細田氏は安倍前首相が実質的に領袖の細田派、鷲尾氏は二階派とあって、どちらも引かず、調整がつかない。保守分裂となれば、野党を利するだけ。早く調整してほしい」
衆院群馬1区では、現職の尾身朝子衆院議員に対して、前回は単独比例当選した中曽根康隆衆院議員が公認を目指している。
「尾身氏の父は財務相まで務めた尾身幸次氏。中曽根氏も父、弘文参院議員は外相など何度も閣僚を経験した大物で、祖父は中曽根康弘元首相です。現職の尾身氏は細田派なので優先されているが、中曽根氏も簡単に下りそうにもない。重鎮ばかりが出てくるので、収拾がつかないよ」(自民党幹部)
衆院福岡5区は元環境相、原田義昭衆院議員の地盤だ。しかし、自民党福岡県連の県議団が昨年、栗原渉県議を全会一致で、次期衆院選候補に推薦を決める”乱”があった。
昨年12月、自民党の山口選対委員長はわざわざ福岡まで足を運び、福岡県連幹部と面談した。
「次の衆院選は原田氏で行きたい。これで最後なのでその次は栗原氏でどうでしょう」
両者の「仲裁」に入り、原田議員も「次が最後」と明言した。しかし栗原県議を支持する自民党の県議はこう反発する。
「原田氏はこれまで『次は出ません』と言いながら、ずっと反故にして出馬してきた。信じられない。栗原氏は今も出馬の意向がある。保守分裂でも勝てると踏んでいる」