
SDGsやESGの観点から銘柄を選ぶアクティブ型投信は機械的な運用が難しいので、どうしてもコストが割高になる。信託報酬(保有中に差し引かれる手数料)は年率1.7%以上のものが大半だ。100万円の投資で年1万7千円差し引かれる計算で、軽視できない。
「ESGの、特にE(環境)の分野は結実するまでに膨大な時間を要します。私は1990年代後半、前職でエンジニアとして燃料電池自動車の開発に関わっていましたが、市販車の登場は約20年後でした」
20年は長すぎるにしても、最低10年は保有しないと結果はわからない。

「要するに『もうけ』を重視して買う投信ではないのです。ただ社会貢献も兼ねて投資しようという気持ちは否定しません。ESGの指数に連動するインデックスファンドなら、信託報酬0.2%台もあります」
結論。SDGs系投信は資産運用の中核に据えるべきではない。社会貢献のためにコスト高も承知のうえで試すなら少額で。ネット上で月次レポートの組み入れ企業などを確認し、疑問を感じたら手出し無用だ。(経済ジャーナリスト・大西洋平、編集部・中島晶子)
※AERA 2021年6月7日号