※SDGsファンド、ESGファンド、SRIファンドのいずれかに該当する投資信託を、ファンド規模を表す純資産総額でランキング。データは2021年4月30日現在。純資産総額は100万円未満を四捨五入。「どれくらい増えたか?」は分配金等も含めた実質的な利益がわかる「期間リターン」を掲載。信託報酬は年率・税込みで、実質的な運用コストの合計を掲載。信託報酬または実質コストに幅がある場合は上限を掲載。データ提供:楽天証券経済研究所
※SDGsファンド、ESGファンド、SRIファンドのいずれかに該当する投資信託を、ファンド規模を表す純資産総額でランキング。データは2021年4月30日現在。純資産総額は100万円未満を四捨五入。「どれくらい増えたか?」は分配金等も含めた実質的な利益がわかる「期間リターン」を掲載。信託報酬は年率・税込みで、実質的な運用コストの合計を掲載。信託報酬または実質コストに幅がある場合は上限を掲載。データ提供:楽天証券経済研究所

「社会貢献できる投信」のブームに金融庁も目を光らせ始めた。大手金融機関の専用ファンドを中心に売れているが、その投信は“本物”か? AERA 2021年6月7日号で専門家らに話を聞いた。

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 レジ袋が有料になり、スタバのストローが紙製になり……日本でも盛んにうたわれ始めたSDGs、日本語では「持続可能な開発目標」。国連加盟国は2030年までの達成を目指す。

 SDGsに前後し、民間企業にもESGを重視した経営が求められている。ESGはそれぞれE(環境)、S(社会)、G(企業統治)の頭文字で、企業も地球に優しい経営をすべきという指針だ。こうした風潮が資産運用の世界にも波及。SDGsやESGを重視する企業を投資対象に定めた“SDGs系”の投資信託(以下、投信)が急増している。現にSDGs系の売れ筋投信ランキング30本中、16本が設定1年未満だ。

 SDGs系投信の中で売れているのが、みずほ系列金融機関のみで販売の「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」。昨年7月20日の設定以来、7カ月弱で純資産総額が1兆円を突破した。国内運用会社の投信で毎月分配型を除くと、00年2月設定の「ノムラ日本株戦略ファンド」、19年6月の「グローバル・プロスペクティブ・ファンド」に続く1兆円投信だ。

「SDGs系投信の多くは十分な実績データがなく、まだ正当な評価が難しい。また、どこまでSDGsやESGの視点で銘柄を選んでいるのか不透明なケースが見受けられます」

 こう指摘するのは、楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子さん。ブーム化しているため玉石混交という。以前から存在していた投信の名称を変更してSDGs系に“衣替え”する動きも見られる。

■社会貢献の大義名分

 金融庁はこうした実態を憂慮し、監視体制を強化。前述の1兆円ファンドも、「組み入れ銘柄がSDGsやESGにどう取り組んでいるか、説明不足」と指摘があったことが報じられている(現在は個別に説明)。

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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