今年11月で70歳になる漫才師のオール巨人さん。2月には歌手としてシングル「夢浪漫」もリリースするなど力強く歩みを進めていますが、新型コロナ禍は自らの信念を直撃する出来事だと言います。巨人さんが語る“漫才師であるためのルール”とは。
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新型コロナ禍、僕らみたいな劇場芸人にはピンポイントでダメージが直撃しています。
緊急事態宣言になったら劇場もストップする。解除になって劇場を開けるにしても、無観客だったり、極端にお客さんを減らしたりで、通常営業はできない。劇場と同じように、お客さんの前で漫才をする営業はほぼゼロになってしまっている。
去年からそういう状況が続く中、ホンマにね、リアルな話を言うと、僕の収入的に言ったらコロナ禍前の10分の1です。
正直、それでも僕は食べていけないわけではない。これまでの蓄えもありますし。ただ、劇場メインの若手なんかは今の状況では生きていけない。それが現実です。
僕はね、この歳まで漫才をしているとは思ってなくて、ずっと「“漫才適齢期”は45歳」だと言ってきたんです。なので、50歳までには辞めたいと思っていました。
ただ、見てくださっている方も歳をとるからですかね(笑)。ありがたい話ですけど、これまで需要があった。「それならば、出してもらいます」ということが続いてきましたけど、コロナ禍では本当に考えさせられました。
改めて、芸人の在り方というか、自分の立ち位置、大事にするもの。そういう部分を見つめ直すことになりました。
僕はね、やっぱり、劇場を大事にしたい芸人なんです。
テレビでの漫才は、極力しないようにしてきました。もし、番組で漫才をする場合も、劇場でやるネタはやりません。
高いお金を払って遠方から来てくださる方もいらっしゃいますし、一生で一回しか来られない方もいらっしゃる。そういった方のために、劇場用のネタは取っておいてあるんです。それをテレビでやってしまうと、わざわざ劇場に来ていただく方に申し訳ない。