コロナの影響を大きく受けている航空業界。なかでもキャビンアテンダント(CA)はいまや男女を問わず人気の職業で、CA輩出に力を入れる大学も増えていたが、就職環境は一気に厳しくなった。この1年、CAを志す学生たちは、苦渋の決断を迫られていた。
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「採用中止」のニュースが出たのは2020年7月のことだった。日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)は、21年3月卒のCA採用を見送ると発表した。2社は例年数百人規模でCAを採用する、言わずと知れた国内最大手。20年5月にはすでに2社ともに採用活動を一時中断しており、志望者が不安に包まれるなかでの決定だった。現在、22年3月卒の採用についても中止が決定されている。
「何をモチベーションにがんばればいいかわからない」「まだあきらめたくない」――。航空業界の就職情報誌「月刊エアステージ」(イカロス出版)には、CA志望の読者からたくさんの切実な思いが投稿されていた。同誌編集長・川本多岐子さんはこう話す。
「ここ数年大量採用が続いていたために、採用中止のショックは大きかったと思います。絶望さえしていました。どうしたらいいのかわからないという戸惑いの声や、いままであったのになぜ今年は採用がないのかという悲痛な声も上がっていました」
同誌は新卒で航空業界を志望する読者には、一度他業界に就職し経験を積んだうえで、将来、既卒採用で再チャレンジすることをすすめている。川本さんは「他業界への就職は、妥協ではなく人生の経験を積むこと」と言う。
「道を断たれたとしても、いつまでも引きずらずに発想を転換しようというメッセージを伝えたいです。CAやグランドスタッフ(空港で勤務する地上職員、GS)は、何かうまくいかないことがあっても接客を継続しなければならないことがよく起こります。気持ちの切り替えができることも、CAやGSの大切な素養だと思います」
一方、採用中止の余波で大学側も変化を求められた。表は本格的なコロナショック前、16年3月卒~20年3月卒の大学別累計CA採用数を示している(大学通信調べ、朝日新聞出版『大学ランキング2022』から)。
ランキング上位校には、女子学生が多い、ミッション系、大学所在地が都市部にある、などの特徴が見られる。CAには英語力が欠かせないため、国際系、外国語系学部を擁する大学が多い傾向もある。これらの大学のなかには、CA志望学生の需要に応え、航空業界向けの就活対策講座を提供するところも少なくない。