写真家・氏家聡さんの作品展「かえるさん ~冬に恋する沖縄のかえる達~」が4月27日から東京・新宿のニコンプラザ東京 ニコンサロンで開催される。氏家さんに聞いた。
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氏家さんがニコンサロンで写真展を開くのはこれで2度目。
「2019年に銀座ニコンサロンで開催したときは、いろいろな方から『銀座でカエルの写真を見たのは初めてだよ』と言われました」と、楽しそうに語る。「年配の方からは『昔はよくウシガエルをつかまえて遊んだ』とか」。
このとき発表したのは約20年かけて撮影したの沖縄のカエルの作品の集大成。そして今回のテーマは「冬のカエル」だ。
カエルというと、冬の間は冬眠するイメージがあったのだが、「沖縄のカエルは冬眠しないんです。なので、年中無休でカエルを追いかけることができるわけです」。
出だしの作品はオキナワイシカワガエル。天然記念物に指定されている沖縄本島の固有種で、闇夜をバックに黄緑色の地に黒褐色の斑点がある派手な姿が浮かび上がる。
「日本でいちばん美しいカエルと、いわれるくらい、きれいなカエル。『ひょう、ひょーう』と鳴くので、昔は鳥が鳴いていると勘違いされたらしいです」
木の上にいる愛嬌のあるカエルは、オキナワアオガエル。小さな体つきのわりに「鳴嚢(めいのう)というノドの袋が発達しているのでけっこう大きな声で鳴くんです」。
■カエルで埋め尽くされる沢
一方、「ハナサキガエルとリュウキュウアカガエルは鳴嚢があまり発達していないので『ぴ、ぴ、ぴ』と、小さなかわいらしい声で鳴く。でも、水の中では激しくメスの奪い合いをするんです」。
それが冬、森の中の沢で行われる一斉産卵で、今回の展示のハイライト。
当初、作品に「Winter night FEVER」というタイトルをつけていたほど、「水辺はたくさんのカエルで埋め尽くされます。いたるところで鳴いて、前後見境ない状態になる」。