初夏の行楽シーズン、長引くコロナ禍では泊まりがけの旅行は心配だし、混雑するような観光地に行くのは控えたい。でも、そろそろ我慢の限界! という方に、ぜひおすすめなのが、東海道歩きです。『地形がわかる 東海道五十三次』(朝日新聞出版)で撮影協力をいただき、ご自身も東海道五十三次を踏破したという浅生真さんが、その見どころを紹介してくれました。
【東海道五十三次を踏破した浅生真さんオススメの見どころを写真で紹介】
この記事の写真をすべて見る東海道は日本橋から京都、大阪を結ぶ街道です。慶長6(1601)年、徳川家康が伝馬制度を設けたことで、今日に続く東海道が形作られました。
私は日本橋から京都までの東海道五十三次を約5年かけて歩きました。1日30キロ程の道のりを歩き、続きはまた別日に、というスタイルで約500キロを徒歩で踏破しました。
歩いたからこそ見えてきた東海道の魅力を一言でいうと、その「懐の広さ」です。
東海道には多くの見どころが残っています。伝馬制度に関連する一里塚や本陣跡、道祖神や道標といった石碑、歌川広重の「東海道五十三次」をはじめとする美術、文学に残された名所など、様々な名残を切り口にして楽しむことができるのです。
純粋に宿場を制覇することを目的にスタンプラリー的に歩いてもいいですし、広重の「東海道五十三次」に描かれたシーンを写真に切り取ってもいいでしょう。または道標を完全制覇するといった楽しみ方もできます。
そこで、密を回避しながら楽しめる東海道の見どころ、楽しみ方を、東京を中心にいくつかご紹介します。
【品川宿】北品川で江戸時代のままの地形を楽しむ
日本橋から出発して一つめの宿場が品川宿です。八ツ山橋を越えて、京浜急行線の踏切を渡ると、旧東海道沿いに店々が並びます。まず注目したいのはその道幅。旧東海道の道幅は当時と変わらず、昔の様子を想像することができます。
海側の路地に目を向けると、旧東海道沿いのほとんどが海に向かって緩やかな下り坂となっていることが分かります。これも江戸時代の名残。当時は道沿いまで、海が広がっていたのです。東海道を少し離れて坂を下ると、品川浦の船溜まりや、打ち上げられた鯨の骨を埋めた鯨塚など、江戸時代の東海道の様子が垣間見える見どころが残されています。