■歯科医師が警告する「たるみ」の原因とは?

 そもそも「顔のたるみ」は、老化によって起こります。20~30歳代の肌は、皮膚と表情筋を密着させる線維組織(コラーゲン)が引き締まっているためにハリがあります。しかし、40歳を超えた頃から、この線維組織が衰えて連接が緩みます。人によっては数ミリ単位で隙間ができてしまうことから、皮膚を支えきれなくなり、たるみにつながるのです。

 ところが、長いマスク生活では、年齢に関係なく、顔がたるんでしまう恐れがあります。

 というのも、先述したように顔の表情は皮膚の下にある「表情筋」で作られます。30種類以上ある薄い筋肉で、相互に働き、人の複雑な表情を作っています。

 そして、笑顔のようなポジティブな表情は表情筋を上に動かして作り、気難しく見えるネガティブな表情は主に口まわりの表情筋を下に動かします。上への動きは意識が必要なのに対して、下への動きは無意識でもできるため、下に動かす筋肉の方が優位に働きます。

 しかも、日常生活では表情筋のうち30%程度しか使いません。そして、ポジティブな表情に使う表情筋は8種類なのに対して、ネガティブな表情の方が11種類と多いことも分かっています。意識しないでいると、筋肉はどんどん下がってしまいます。

「自分はそんな表情をしていないから大丈夫」と思うかもしれません。ところが、日常生活で、ポジティブな感情とネガティブな感情でいる比率は「3:7」と、ネガティブの方が多いのです。

 これは生物が生き残る上で、危険を察知してすぐに行動が起こせるように、「恐怖」「嫌悪」などの感情が敏感になっているためです。一方、「うれしい」「満足」などのポジティブな感情は、自分の気持ちの中だけで起こり、長続きしないということが分かっています。

 つまり、ネガティブな表情は、知らず知らずのうちに表情に現れますが、笑顔などのポジティブな表情は「意識していないと、作れない」ということです。

 しかも、マスクをつけていると口元が見えないため、表情を作ることに対する意識が薄くなります。

 特に口の周りの「口輪筋」は、口の周りを取り囲むように輪になっていて、大部分が骨に付いていないため、年齢に関係なく衰えやすい筋肉です。マスクをしていると口呼吸になり、口輪筋を使わなくなることもあって、顔がたるみやすくなります。

暮らしとモノ班 for promotion
「なんだか不調」は冷房病が原因かも?おすすめエアコン冷え対策グッズ
次のページ
表情筋をしっかり使って対策