その昔、コジロー(写真、雄)は抱っこ犬でした。散歩の終わりが近づくと動かなくなり、ひたすら上を見上げて「抱っこして」の合図です。
コジローが歩いているのを見た近所の方に、「珍しいわね。今日は抱っこじゃないの」と、笑われることもよくありました。
2年ほど前のある日、コジローが急に体調を崩しました。あいにく夫が留守だったため、動物病院のカートを借りて病院へ連れていくことにしました。
まず駆け足で病院に行き、カートを借りて家へ。コジローをカートに乗せたら病院へ。診察後はコジローを乗せて再びわが家へ、そして返却……。
そんなことがあって何かの時に便利かなと思い、カートを購入しました。
カートが活躍し始めたのは、その後、コジローが膀胱を悪くして入院し、退院してからです。
目的地までカートに乗り、到着後しばらくお散歩。彼が上を見上げる合図で再びカートへと、こんな日々が続いています。
ある朝、カートに乗っているコジローを見た高齢の女性から、「可愛いわねえ」とか「乗り心地よさそうね」とか言われました。別れ際には満面の笑みで、「ありがとう」と言われました。こちらこそありがとうです。
最初何回かは大雨の日にはカッパを着せてカートに乗せ、カートの覆いをかけてからさらに45リットルのゴミ袋をかぶせるという重装備をしていました。
しかし、これはいくらなんでも犬権問題じゃないかということで、現在は折り畳み傘を使っています。
コジローも13歳。だんだん足腰も弱ってきています。でも、歩けなくなっても大丈夫。どこでもカートで連れていってあげるからね。
(乾 康子さん/兵庫県/74歳/無職)
【原稿募集中!】
「犬ばか猫ばかペットばか」では、みなさまからの原稿をお待ちしております。
原稿は800文字程度で、ペットのお写真を添付のうえ、下記メールアドレスまでご送付下さい。
必ず名前、住所、年齢、職業、電話番号のご記入をお願い致します。
尚、掲載は本コーナーと「週刊朝日」の誌面となります。謝礼は6千円。
mypet@asahi.com
※著作権は本社に帰属します