週刊朝日 2022年7月15日号より
週刊朝日 2022年7月15日号より

「当社の商品は、通常のアパレル会社と違って、一つひとつの商品の入れ替えスパンが長い。長いものだと、5年も10年も売り続けるものもあります。そのため、生産の委託先に対して安定的、継続的に発注できる。機能や価格も一緒になって考えてきました。こうした関係はこれからも変わりません」(林さん)

 今年度はテレビCM(スポット広告)もやめる。コスト削減の一環だ。代わりに、19年から手がけてきたSNSを使った情報発信を増やす。商品のコアなファン数十人にアンバサダー役を依頼し、動画サイトを通じて使い心地などを伝えてもらう。

「厳しい時期でも、チャンスだと思って、いろいろなことにチャレンジしたい。率直に言えば円安、原材料高、物流コスト高の『三重苦』の中で値上げをしないのは、やせ我慢の面もあります。でも経営トップが宣言したことで目標がはっきりし、対応が取りやすくなりました」(同)

 まるか食品(群馬県伊勢崎市)も3月、即席麺「ペヤングソースやきそば」などペヤング製品の価格を「しばらくの間は据え置く」と発表した。「企業努力の向上によって(略)コスト削減に全力で取り組む」としている。主力商品の希望小売価格は、若い人でも買いやすい税別193円を維持する。今回、そろって値上げに踏み切った主なカップ麺メーカーとは一線を画した形だ。

「まるか食品は、原料高に見舞われた東日本大震災後に他社とともに値上げした結果、客離れを招いた経緯があります。今回、他社と足並みをそろえないのは、客離れを恐れているからでしょう」(食品業界関係者)

 飲食店では、価格維持どころか値下げに踏み切るところも。ワタミ(東京都大田区)が運営する「焼肉の和民」は3月、全ての商品を税抜き390円以下で提供すると表明した。「角切りハラミ」(550円)や「和民の特製盛岡冷麺」(690円)といったボリュームのある商品も390円に引き下げるなど、思い切った価格をつけた。

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