大学入試で総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦などの方式が拡大する中、難関大学にコンスタントに合格者を出す高校も出てきている。高校側はどのような取り組みをしているのか。AERA 2022年7月11日号から「大学」特集の記事を紹介する。
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入学者の半数が推薦入試型、という時代に入り、都内の中高一貫校では推薦入試突破に重点を置くクラスを開設するところも出ている。
全ての教科において探究学習を柱にすえ、総合型選抜に適したカリキュラムで学ぶ「新クラス」を導入したのはかえつ有明中学校・高等学校だ。
「新クラス」の今年度の実績は、慶應義塾大学2人、早稲田大学3人、上智大学6人、国際基督教大学2人、立教大学、青山学院大学といったMARCH層も含め、クラスの61%が総合型選抜方式の入試で合格を決めた。
通常の授業でもグループディスカッションを多く取り入れているため、発表も手慣れている。推薦型の入試ではグループワークや面接での評価も重視されるため、ここが強いのはメリットと言える。
一般入試と違い、総合型は合否の基準が見えにくい。そこで、受験生本人から得たデータを集めるなど情報を蓄積して学内で共有し、活用している。今年度からは自己分析や志望理由書作成などの講座を、希望者を対象に土曜日に開講。講師を務めるのは同校の卒業生らだ。
推薦入試で入った子は、勉強はイマイチ……。昔はそんな評判も聞かれたが、そうでもないことも分かってきた。
「うちから早慶に入った生徒の中には大学1年生からずっと成績が学年トップ3という生徒もいます」(福冨高彦教諭)
「総合型選抜など推薦方式こそ、本校の学びが生かせる」
そう断言するのは、新渡戸文化中学校・高等学校副校長の山藤旅聞教諭だ。1学年100人定員の小規模校の良さを生かし、きめ細かい指導をしている。水曜日は時間割の枠を無くし、探究活動をする「クロスカリキュラム」という時間にまるごと充てた。高校から入学する生徒は、中学でオール3程度と、いたって普通の成績の子たち。にもかかわらず、新渡戸の学びで火がつき、近年は総合型の入試などで慶應義塾大学や立教大学、東京農業大学といった難関大学や医学部などに合格者を出すように。数年前まで定員割れが続いていたが、近年は定員を満たしてきた。