落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「終活」。
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担当のK氏からの今回のテーマ『終活』についての依頼メールにこうあった。「(前略)~家終い、墓終い、と『終活』は弊誌の読者層には超大事な問題なので、よろしくお願い申し上げます」
週刊朝日の読者様が全員「終活」に夢中? そんなことないだろうとも思ったが、まるで間違いでもないようなので、まぁいいか。
数年前に墓を建てた。父(当時73歳)が「今のうちに建てとくか?」と言うので、一応お金は私が出した。父は元気で、今のところ「入居予定」もなく、我が家の墓は空き家のままだ。墓も放ったらかしだと汚れるので、父は時折様子を見に行き掃除をしているそうだ。空けておくのも、もったいない。昔ながらの縦長の墓石に古風に「川上家」と彫らずに、今流行りの横長墓石にしておもて向きは「夢」「愛」とか彫っておけば、誰かに間貸し出来たかもな……なんてことを思いながら私も草むしりに行く。
すっきりした我が家の墓に水をかけ、地元の街をテクテク歩くと、以前仕事でよばれた公民館の前に出た。たしか「防犯落語をお願いします」というオファーだったな。こういった講演会的な意味合いの仕事依頼はけっこうあって、過去には「子育て落語」「防災落語」「婚活落語」「就活落語」……とにかく生活に関するよしなし事を落語で啓蒙してくれ、ということらしい。「防犯」は泥棒の噺→『出来心』『転宅』など。「子育て」は子供の噺→『初天神』『真田小僧』など。「婚活」は大家さんが「そろそろ世帯でももちなさいよ」と店子に縁談を持ちかける噺→『たらちね』『不動坊』など。「就活」は大家さんが「そろそろ遊んでばかりいないで仕事でもしたらどうだ?」と店子に説教する噺→『鷺とり』など。ほぼこじつけなので、ギャラを渡す時の依頼主は複雑。私はいい加減なもんだが、ちゃんとした「納税落語」「成年後見制度落語」を手がけてる落語家さんもいるので、興味のある方はお調べください。