(写真・鈴木はな)
(写真・鈴木はな)

 舞台となった歩道橋は地下鉄6号線の梨泰院駅の隣、緑莎坪(ノッサピョン)駅を降りてすぐのところにある。歩道橋からは南山(ナムサン)が見え、夜になると、ライトアップされたNソウルタワーがキラキラと、まるで暗闇に浮かんでいるように見える。筆者も渡韓して以降、コロナのために一度も日本に帰れていない。ソウルを代表するような美しい夜景を見ていたら「私もここで絶対に夢を叶えてやるぞ!」とセロイのような気持ちがじわじわと盛り上がってくる。

セロイが幼なじみのオ・スア(クォン・ナラ)をおぶって歩くシーンが撮影された階段。記念撮影する人もいた(写真・鈴木はな)
セロイが幼なじみのオ・スア(クォン・ナラ)をおぶって歩くシーンが撮影された階段。記念撮影する人もいた(写真・鈴木はな)
(写真・鈴木はな)
(写真・鈴木はな)

外国人がこんなに!

 取材で訪れた日は、カップルや女性グループが次々に来て、Nソウルタワーを背に写真を撮っていた。外国語を話す人の姿も目立つ。

 今、ソウル市内で外国人の姿を見ることは、コロナ前に比べて大きく減った。コロナの影響で、韓国政府は海外からの入国者にPCR検査と2週間の隔離を義務づけているからだ。さらに8月半ば以降、ソウルを含む首都圏でコロナの新規感染者が再拡大し、飲食店の営業が一時期、午後9時までに制限されるなどしたため街を歩く人の数は減っていた。だがこの日の梨泰院周辺には、「こんなにいたのか!」と驚くほど、在住者や留学生であろう多くの外国人が屋外のテラス席でお酒やお茶を楽しんでいた。

タンバムの外観。看板も店内の様子も、ほぼドラマに出てきたままだ。通りすがりに写真を撮っていく人が多かった(写真・鈴木はな)
タンバムの外観。看板も店内の様子も、ほぼドラマに出てきたままだ。通りすがりに写真を撮っていく人が多かった(写真・鈴木はな)
ドラマを見て訪れたのだろうか。チゲを食べている人が目立つ。店内だけでなく、ドラマにも登場した屋上で食べることもできる(写真・鈴木はな)
ドラマを見て訪れたのだろうか。チゲを食べている人が目立つ。店内だけでなく、ドラマにも登場した屋上で食べることもできる(写真・鈴木はな)

ドラマの店そのまま

 歩道橋を渡り、カフェや飲食店が集まる道を5分ほど歩くと、セロイが最初に開いた店「タンバム」がある。看板も外観もドラマに出てきた店そのまま。入り口にはテレビでの放映当時からあったのか「JTBC 梨泰院クラス 多くの視聴をお願いします~」と書かれた黒板がかかっていた。

 ずっと気になっていたのがタンバムの看板メニューとして登場する純豆腐(スンドゥブ)チゲだ。セロイと最愛の父の思い出の味でもあり、深夜、チゲを食べるシーンを見ながら「今すぐ純豆腐チゲを食べたい!!」と悶絶したのは私だけではないはずだ。

カボチャが入ったチゲ?

 実はこのチゲ、リアルなお店でも人気のメニュー。ドラマと同じ銀色の丸テーブルに座り、メニューを開くと、一番上に純豆腐チゲとブタキムチ炒めのセットがあった。値段は3万ウォン(約2700円)と、韓国の家庭料理の定番でもあり、庶民の味である純豆腐チゲとブタキムチにしてはなかなか強気な値段。通常の1.5倍はする。

 チゲは卓上コンロで火にかけて食べるスタイルで、運ばれてきた鍋には、純豆腐チゲではあまり見かけないカボチャが入っていた。少し不安がよぎったが、秋の風に吹かれながら熱々のチゲを口に運ぶと、辛すぎず、親しみやすい味でなかなかおいしかった。

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