中島美鈴(なかしま・みすず)/公認心理師、心理学博士。専門は認知行動療法。著書多数。九州大学大学院人間環境学府の学術協力研究員(写真:本人提供)
中島美鈴(なかしま・みすず)/公認心理師、心理学博士。専門は認知行動療法。著書多数。九州大学大学院人間環境学府の学術協力研究員(写真:本人提供)
この記事の写真をすべて見る  働く親にとって、夏休みに出される子どもの自由研究は手がかかるもの。自由研究をスムーズに進めるためのポイントについて、臨床心理士の中島美鈴さんが解説する。AERA 2022年7月11日号の記事を紹介する。

【忙しい親向けの自由研究のポイントはこちら】

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 多くの小学校で夏休みの宿題として出される自由研究。私にも小学生の息子がいますが、日々の子育てや仕事で忙しいのに、さらに自由研究のサポートまでやるなんて荷が重いですよね。自由研究ではテーマ決めももちろんですが、「子どもが自分で研究を進める」「親の時間を捻出する」の2点がネックになりがちです。

 ただ、自由研究がなかなか進まないのは子どものせいではありません。子どもはやり方を知らないので、親主導で大枠を固めることが大切です。認知行動療法では、考え方のクセや行動パターンを見直し、いい循環になるしくみを作ります。子どもに合ったしくみがあれば、自ら動けるようになるのです。

 自由研究の手順は次の通り。(1)子どもの興味のあるものをリサーチ、(2)(1)を掘り下げるため、親が子どもにインタビュー、(3)親がテーマの選択肢を提示して子どもが決定、(4)親子で研究の完成形を確認、(5)テーマについて調査や実験、(6)構成決め、まとめ。これら一つずつを真面目に、休日に進めていたら、まったく時間が足りません。「自由研究は休日にやるもの」という思い込みは捨てて、夏休み前から少しずつ(1)~(5)までの準備に取り組んでいきましょう。

AERA 2022年7月11日号より
AERA 2022年7月11日号より
 その際、習い事の移動時間や外食時などすきま時間を活用するといいです。実際に手を動かす(6)の日だけ、夏休み中のどこか午前中で、なるべく2日間は確保を。午後に水遊びなど「お楽しみ」の予定をセットで入れておけば、子どもも頑張れます。

 事前の準備で見落としがちなのが、子どもに研究の完成形を見せておくこと。子ども自身がやることを認識でき、モチベーションもアップします。好みそうなものを選びましょう。スマホで「自由研究 まとめ」などと画像検索すれば出てきます。

 構成を決めるときこそ親の出番。関連書籍やサイトを参考にして、枠組みを作ります。「目的」「方法」「結果」などの項目を色画用紙に書き出して、先に模造紙に貼っておけば、子どもは各枠を埋めるだけ。データや写真を貼る位置も確認します。ここまでお膳立てすれば、あとは子どもに任せて大丈夫。完成時に子ども自身も「自分でやった」感を味わえます。(構成・小林佳世)

AERA 2022年7月11日号

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