かとうれいこ、細川ふみえ、雛形あきこ、小池栄子など多くの巨乳グラビアタレントを世に送り出してきた芸能プロダクション「イエローキャブ」。本書では創業者である野田義治の波瀾万丈の半生を描いている。

 俳優・高橋英樹に憧れ、上京したものの、ゴーゴークラブの支配人になっていた野田がどのような経緯で芸能人のマネージャーになったのか。そして、プロダクションをなぜ起こしたのか。野田の立身出世物語を辿ることで、でたらめだけど熱気にあふれていた昭和・平成の芸能界の裏側を垣間見ることができる。

 野田は世間の常識に逆張りしつづけた男でもある。芸能界に興味がない人も、着眼点は参考になるはずだ。タレントに深い愛情を注ぎ、売れるには何が必要かを考え、作戦を練る。タイトルの印象と違って、骨太の哲学が詰まった一冊でもある。
(栗下直也)

週刊朝日  2020年8月14日-21日号