生まれて10日も経っていなかったヨークシャーテリアの紗南(さな・写真、雌)が、リビングに置いてあるハウスからキュ~キュ~と鳴きながら、私の布団がある和室に必死でたどり着いた。そのまま一緒に寝るようになってもう7年になる。
たぶん私の布団の中で目が開き、この老いぼれた私を母と思ったのだろう。
母代わりの私にとって、何よりミルクを飲ませるのが苦労だった。紗南は10月生まれ。冬に近づく時期で、哺乳瓶のミルクはすぐに冷めてしまう。そこでカンガルーのポケットに入っているような感じで私の服の中に入れ、飲ませることにした。これなら本人の体温が保てるので、多少ミルクが冷めても大丈夫だ。
夏は布団の上で、冬は布団の中で、年中いつも一緒。編み物好きな私は、編むとき座布団に座り、足を伸ばして膝掛けを掛ける。すると、どこからか紗南がサァーッとやってきて膝掛けの中に潜り込み、いびきをかいて寝てしまう。
編み針が当たらないか気が気じゃないが、こっちの心配はそっちのけだ。
また、紗南はおんぶも好きだが、最近は母犬が怒るので中止にした。どうやら母犬は、自分もおんぶしてほしくて焼きもちを焼いているらしい。というわけで再開のメドはたっていない。
夫は紗南と寝たがるが、夫が声をかけただけで逃げていく。理由はただ一つ、たばこ。彼女はたばこのにおいが大嫌い。夫がたばこをやめない限り、一緒に寝ることはできないだろう。
紗南はハミガキが苦手なので、スティック状にしたキャベツの芯や大根の皮をカジカジさせて、ハミガキ代わりにしている。
7歳になっても、みんなから赤ちゃんのまんまだと可愛がられる愛らしい紗南。いつまでも甘えん坊の紗南でいてほしい。
(中野みちるさん/大阪府/63歳/主婦)
【原稿募集中!】
「犬ばか猫ばかペットばか」では、みなさまからの原稿をお待ちしております。
原稿は800文字程度で、ペットのお写真を添付のうえ、下記メールアドレスまでご送付下さい。
必ず名前、住所、年齢、職業、電話番号のご記入をお願い致します。
尚、掲載は本コーナーと「週刊朝日」の誌面となります。謝礼は6千円。
mypet@asahi.com
※著作権は本社に帰属します