木材をふんだんに使った国立競技場の設計で、全国的に知られることとなった建築家隈研吾が、その思考を自らの作品とともにまとめた本。自身の建築は「一言でまとめると、ヴォリュームの解体」であるとし、ヴォリューム(量塊)とは「コンクリート建築の属性でもあった」とする。コンクリート建築のチャンピオンがル・コルビュジエで、彼は桂離宮を見たときに「線が多すぎる」と嫌悪感を示した。隈の基本である木を使った建築は当然のこととして線の建築となる。那珂川町馬頭広重美術館を設計した際は、歌川広重の代表作「大はしあたけの夕立」の雨の線から設計のアイデアを得た。

 タイトルにある点、線、面という視点から、哲学者や人類学者と向き合い仕事とむすびつけていく、生き生きとした思考の動きが楽しい。(生田はじめ)

週刊朝日  2020年4月3日号