「人生の楽園」に登場した、栃木県茂木町で竹細工工房を始めた夫婦
「人生の楽園」に登場した、栃木県茂木町で竹細工工房を始めた夫婦

 最近の放映回の中から、特に印象に残っている方々を3組ほど挙げてみます。

 1組目は、鹿児島県の新島(しんじま)という無人島に夫婦で移住した50代の女性と、60代の男性です(19年11月2日放送、年齢は当時のもの)。女性は島の生まれで、進学を機に鹿児島市内に移り住み、結婚しました。50代になると、「島が荒れている」と聞いて清掃に通うようになり、ついには夫婦で移り住むことを決意します。いずれは島に人が住めるようにしたいというご夫婦やご家族の思いがひしひしと伝わってきました。

 2組目は、埼玉県川越市でオーダーメイドの眼鏡工房を営む50代のご夫婦です(20年12月5日放送)。

 旦那さんはもとコンピューター機器の会社員で、49歳のとき、お店で手作りフレームの眼鏡を見つけたことをきっかけに、独学で眼鏡作りを始めるようになります。その後、会社を早期退職し、川越市内にある古民家の納屋を改装して夫婦でお店を開きました。男性の心意気はもちろんのこと、実際に彼が作る眼鏡フレームもお洒落で魅力的でした。

 3組目は、栃木県茂木町で竹細工工房を始めた40代のご夫婦です(21年5月29日放送)。

 旦那さんはもともと都会でクラブDJをしていましたが、東日本大震災をきっかけに生き方を考え直し、故郷の宇都宮市にUターンします。竹細工職人だった祖父への憧れから、竹工芸家の下に弟子入りし、35歳で職人として独立しました。工房として使っている民家は、町から紹介された空き家を改築したものですが、とてもセンスが良く、生活に豊かさを感じました。
 
 3組に共通していたのは、毎日をとても楽しそうに過ごしていたこと。たとえ収入が減ることがあっても、自分の好きなことをしていた方が、人間やはり幸せを感じやすいということだと思います。

──20年以上番組が続けば、取材先とのネットワークも相当広がるのではないかと思います。過去の取材が起点となって、新たな企画が生まれることもあるのでしょうか。

 はい。取材先からの紹介や現地での出会いが、次の取材へとつながるケースは結構あります。

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コロナ禍の影響で30代も取材対象に