
新型コロナウイルスの感染拡大を機に働き方や暮らし方の見直しが進み、テレビや雑誌で地方移住に関する特集が組まれることが増えた。このテーマを早くから手がけてきたのが、テレビ朝日系列「人生の楽園」(土曜午後6時~)。2000年10月に放映を始め、今年の秋で22年目を迎える。
主に登場するのは、都会で働いていたが、縁あって新たな土地で「第二の人生」を歩み出した人々。移住先での取組や現地の風景が映し出され、西田敏行さんと菊池桃子さんの優しいナレーションが寄り添う。
決して派手な仕掛けはないながら、長年視聴者の心をとらえる秘密はどこにあるのか。番組プロデューサーの岡本基晃さん(53)に聞いた。
──番組が始まった当時、地方暮らしへの世間的な関心は現在ほどは高くなかったと思います。どうしてこのテーマに着目することになったのですか。
もともと、この番組はいわゆる「団塊の世代」(1947~49年の間に生まれた世代)に向けて始まったものなんです。放映が始まった当時は彼らが50代に差しかかった時期。テレビの世界でも、その世代に向けた広告出稿を考えるスポンサーが増えていました。彼らにストレートに届く番組があってもいいのではないか、どんなテーマなら関心を持ってもらえるかを模索する中で浮かんだのが「第二の人生」というテーマです。
それまで「定年退職」は引退とほぼイコールでしたが、だんだんと健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)も のびて、「定年後をどう生きるか」ということへの関心が世の中で高まっていました。そこで、現役時代から一歩踏み出し、新しい人生を歩み始めた人々にスポットを当てることになりました。
──メディア露出もそれほど多くない一般の方々の中から、どんな観点で取材対象を選んでいるのですか。
明確な基準があるわけではありませんが、新たな人生に向けてチャレンジする姿勢を持っていることは一つのポイントです。