チーコ(写真)は雌のサビ猫。元野良猫なので年齢は不詳だが高齢のようだ。
初めて会ったのは8年前。後ろ脚の爪をケガして、汚れた姿でわが家の庭に迷い込んできた。最初はフードをあげても決して目の前では食べなかった。それでも時間をかけて少しずつ仲良くなり、いつの間にか大切な家族の一員に。
元は飼い猫だったのか、チーコのおなかには避妊手術の傷痕らしきものがあった。教えたわけでもないのに、テーブルの上の料理には手を出さなかった。なかでも私にはよく懐いてくれ、毎晩枕を分け合って寝ていた。
まるで犬のように、家族の車の音を聞き分け、玄関マットの上で香箱座りをして待っていてくれたりもした。そんなチーコがよく吐くようになり、動物病院に行くと腎不全との診断を下された。一昨年の6月のことだ。そして皮下点滴に通う日々が始まった。
穏やかな性格のチーコは病院にも素直に通っていたのだが……。数カ月後にフラリと姿を消してしまった。
元野良猫のチーコはどうしても猫トイレを嫌がり、日に数度の周辺パトロールを兼ねた外出を日課にしていた。朝、いつものように小走りに玄関から出ていったのが最後に見たチーコの姿だ。あの時、ドアを開けてしまった自分を、私はいまだに許せずにいる。
何日も近所を捜し回った。警察や保健所、愛護センターにも連絡してみたが、いまだに音沙汰がない。チーコはどこに行ってしまったのだろうか? もう死んでしまっているのだろうか?
あれから1年以上たつが、「いつかチーコに必ず会える」と私はまだ信じている。
チーコ、うちに来てくれてありがとう。6年間一緒に暮らせて楽しかったよ。本当にありがとうね。これからもずっとずっと家族だよ。
(高徳裕美さん 群馬県/58歳/主婦)
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