「私が介入した、日常生活で疲れている産後のママや育児中の女性を対象にした研究では、リラックス効果や疲労感減少、爽快感や眠気の誘発、癒やしなどの結果が出ています。また、代表的なアロマであるラベンダーは、睡眠を改善するという論文が多数発表されています」
香りの分子が鼻腔を通り感情や本能を司る大脳辺縁系に伝わり、その情報は視床下部へ運ばれ、自律神経系、免疫系、内分泌系のバランスを整える。
ティッシュに垂らして枕元に置いたり、お風呂に数滴垂らしたりすればOK。香りは好みで選べばいいが、ラベンダー、イランイラン、オレンジなどがリラックスの定番だ。

コミュニケーション大切
瞑想という手段もある。「EDIT YOGA WORKS」代表の池田光希さんは、更年期症状に苦しんでいたとき、マインドフルネス瞑想に出合った。
「気分の上下が激しく悩んでいた時、心が落ち着き、とても楽になったんです」
マインドフルネスとは、「今、この瞬間」に心を向けること。マインドフルネス瞑想とは、今に心を向け、瞑想することだ。
「何も考えていないようでも脳は常に働いていて、過去の失敗、未来の不安などが頭の中で渦巻いています。それから解放してくれるのがマインドフルネス瞑想です。私は、嫌な経験をしてもムカッとする前にちょっと立ち止まることができるようになり、怒りっぽくなくなりました」
マルチタスクの時代、池田さんが勧めるのが、タスクとタスクの間に1分間目を閉じて呼吸を数える方法だ。次のタスクに行く前に脳の回転を一旦止めることが目的だ。
つい頑張りすぎてしまう働く人へ、最後に東京都大田区の本妙院住職、早水文秀さんの言葉を伝えたい。
「『相手がわかってくれるはず』というのは自身の欲求でしかない。他人が自分の思い通りに動いてくれることはないし、言葉に出さなくても理解してもらえるというのも違う。だからこそ、コミュニケーションを取るよう努めることです。気持ちの齟齬から生じるストレスは軽減し、関係性も改善すると思います」
(ライター・羽根田真智)
※AERA 2022年7月4日号より抜粋
>>【前編】仕事もプライベートも“リア充”のはずが円形脱毛症に…心身の不調を見落としがちな理由とは

