間宮祥太朗(まみや・しょうたろう)/1993年6月生まれ。2008年デビュー。7月スタートの夏ドラマ「魔法のリノベ」(フジ系)に出演予定(photo 写真映像部・東川哲也(間宮さん) hair & make up 三宅 茜
間宮祥太朗(まみや・しょうたろう)/1993年6月生まれ。2008年デビュー。7月スタートの夏ドラマ「魔法のリノベ」(フジ系)に出演予定(photo 写真映像部・東川哲也(間宮さん) hair & make up 三宅 茜  styling 津野真吾 costume MUZE GALLERY、AIVER、opposite of vulgarity)
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 自然主義文学の代表作、島崎藤村の『破戒』が60年ぶりに映画化された。さまざまな差別がはびこる「今」に一石を投じる物語。主人公を演じた間宮祥太朗に、映画化への思いを聞いた。AERA 2022年7月4日号の記事を紹介する。

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――主人公・瀬川丑松は被差別部落に生まれ、出自を隠しながら小学校教員として働く青年。やがて生徒たちに自らの出自を明かし、彼らの信を得て学校を去っていく。そんな丑松を演じるのは、近年目覚ましい活躍を見せる間宮祥太朗。春のドラマで主役のヤンキーをコミカルに演じた「ナンバMG5」とは全く違う、「静」の演技で見せる。

一人の教師として魅力

間宮祥太郎(以下、間宮):今回、前田和男監督からの決め事や要望というのは少なかったんです。それよりも、監督は丑松のように、僕や他のキャストを静かに見つめているという印象をすごく受けました。それで、僕は監督の視線を信じて演じればいいのかなと思っていたんです。

 実際、出来上がった作品を見て、前田監督がいかに丑松を丁寧に切り取ってくれたかを実感しました。すごくありがたかったし、信頼して現場に臨めて良かったと思います。

――丑松というキャラクターの魅力とは。

間宮:今まず一人の教師としての魅力があります。彼は子どもたちと「教師と生徒」とか「大人と子ども」という境界線を引いた付き合い方をしなかった。

 生徒にも一人ひとりの性格があって、それこそ家庭の事情も違うし親から教えられてきたことも、子どもたち一人ひとりの中にある価値観も違う。丑松はそんな生徒たちと、一対一のコミュニケーションが自然とできた。だからこそ、生徒たちから深い信頼を得ている。そこが魅力だと思いました。

――生徒に対しても平等な丑松を表すためにしたことがある。

間宮:準備稿の段階でしたが、前田監督と一緒に丑松の印象を大きく変えたのが、彼の言葉です。丑松は生徒たちに対して敬語を使っていなかったんですが、彼の性格ならそうではないのではと、生徒たちにも基本的に丁寧語を使うようにしました。彼なら生徒たちにも敬いの気持ちを持っていただろうと考えました。

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