■自然の姿を写し出す 徐々に色付くもみじの上生菓子
紅葉を存分に満喫した後、目に焼き付いたその光景をそのまま持って帰れたら……と思うことがあります。もみじの葉が、自然に色付いていく様子をキャンバスの上に描いたような上生菓子を、創業百年を超え、四代続く老舗和菓子店の二条若狭屋 本店で見つけました。
まだ緑の蒼さを残す葉が、徐々に黄色、オレンジ、そして赤へと色付いていく様子が、そのまま和菓子の世界へと写し出されています。栗の粒の食感も楽しめる栗餡と白餡を混ぜ合わせた餡玉に、寒天でかたどられた10枚の紅葉がのせられ、秋をうっとりと噛みしめることが出来るのです。可愛らしい小箱に入った葛湯、銘菓「不老泉」と共に、おみやげにしたい一品ですね。
■眺めているだけで嬉しくなる 京の職人技とフランスの色あざやかな秋色の京あめ
真っ白なパレットにのせた絵具のようにカラフルで、心浮き立つ京あめのお店「Crochet(クロッシェ)」。長年、洋菓子の企画にたずさわりパリっ子の感性も知った池村武彦さんが、明治9年創業の老舗京飴製造元の今西製菓と共に新しい京あめの世界を表したお店です。京都に長く伝わる京あめの技術とフランスで培った色に対する美意識が深く混ぜ合わされ、それはまるでキラキラと輝く宝石箱のようなのです。色の入り方、形が様々なのは、職人さんが一つ一つ手作業で作られている証しでもあります。パリの街角や古き良き京都を思わせるような色とネーミングに想像を膨らませドキドキとしながら、口の中にポンとひと粒頬張ると、ほんわりとした甘さと風味が広がり、ほっこり。カスタードプリン味、モンブラン味、アップルティー風味など、その味と色のバリエーションの豊かさには驚くばかりです。
■手のぬくもりと凛とした雰囲気 長く愛される真鍮のドットブローチ
朝、夕はとても冷え、日中との寒暖差が激しくなる京の晩秋。秋のおでかけに、軽く羽織るものが必要なこの季節にぴったりな「um.」のブローチを、中京区の雑貨店「小さい部屋」で見つけました。真鍮やシルバーなどの金属を使って彫金の技術を生かし、アクセサリーや生活道具を制作されている「um.」の上田真理子さん。小さな円を打ち出し繋げ合わせたドットシリーズは、ご自身にとっても定番で愛着のあるシリーズ。シンプルでどんなお洋服やシーンにも合わせやすく、長く使っていきたくなるブローチです。
アクセサリー作家、そしてグラフィックデザイナーとしての二面性を持つ真理子さんの手から丁寧に作られるブローチやアクセサリーは、手のぬくもりや優しさもありつつ、セーターやマフラーに付けるだけで引き締まり、凛とした大人の雰囲気になるのです。