世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。
■自由度が高い動物園
フィリピンの人気観光地であるセブ島で、ジンベイザメと泳ぐこともないし、マリンスポーツにも興じない。ましてや周辺へのアイランド・ホッピングなんてもってのほかだ。
では何をやるかといえば、B級観光スポットめぐりである。これまで、屋内ではなく崖面に向かってただ発砲する青空射撃場(耳栓もなければ、インストラクターすらいない……)や、囚人の更生プログラムの一環でダンスを披露する刑務所など、さまざまな場所に行ってきたのだが、「そのうち行こう」と思って放置していた場所がある。Cebu Zoo(セブ動物園)だ。
名前こそ立派だが、ネットで出てくる情報は、「驚愕の低クオリティ」「管理がゆるゆる」「自由度が高すぎる」「ワニ、乗っちゃいました」「動物が動かない。薬でも投与してるんじゃないの?」などなど、B級どころか、「さすがにマズイだろ」と言いたくなるようなものばかりだ。
しかしそこに面白さを見いだす人もいるようで、かつてテレビ番組がロケに来たらしい。
場所は、島の繁華街であるセブシティの中心部から車で15分ほどの山の中。行き先をグーグルマップに打ち込むと気になる表記がでた。「permanently closed」(廃業)である。
「どういうこと?」
一瞬の迷いはあったが、向かうことにした。到着してすぐにその情報が正しいことがわかった。ゲートに「CLOSE」と張り出されているうえに看板も剥がれ落ちている(これはもともとかもしれないが)。
でも、ここで諦めたら終わりだ。道中でアニメ「SLAM DUNK」のミックスを聴いていた私に安西先生が降りていた。
ゲート前にいると、警備員が出てきた。中を見せてほしいと交渉すると、「動物がいないから、閉鎖した」と突っぱねられた。