そしてもう1つ、マダムに聞きたいことがあった。
茶葉ではなく、ティーバッグでいいのか?ということだ。
これもピシャリと言われてしまった。
「日本人はなぜなの? 紅茶を楽しむときは茶葉で淹れなきゃと思っているでしょう?こんな便利なティーバッグがあるのにわざわざ茶葉で淹れる必要があると思う? フランス人もイギリス人も、あれだけ毎日紅茶を飲むんだからいちいち茶葉でなんか淹れませんよ。スーパーマーケットに売っているティーバッグだって、今は充分においしい紅茶を楽しめる。それよりも淹れ方に気を使ってちょうだい!」
最後もやっぱりクギを刺された。「フランス人であることは私の誇りよ!」と断言しているマダムは使う紅茶もフランスのメーカーのもの。でも「毎日飲むものだからこそ、高い紅茶なんて買いませんよ」とのこと。
味に鈍感な夫も驚いたおいしさ
さっそく家に帰って、マダムに教えられたとおりに淹れてみる。
そして翌日。家族に出してみる。
「うまっ! この紅茶、何かした!? 今までのアイスティーと全然違う」
無類の紅茶好きの上の子がひと口飲んで思わず叫ぶ。
「これはおいしいね。どこかで買ってきたの?」
そして普段いちいち食べ物や飲み物にコメントをしない夫が、わざわざ言葉を発するくらいなのだから本当においしいのだろう。
マダムのアイスティーの作り方は正解だと改めて思い知る。
以来、アイスティーは絶対にマダムに教えてもらった作り方でしか作らない。(スローマリッジ取材班・児玉響子)