
広角24ミリ相当(35ミリ判換算)から、超望遠720ミリ相当の光学30倍ズームのカメラ。このあたりの基本的な撮影機能や撮像素子など画質に関しては、前モデルのTZ90そのままだ。人物撮影モード時のビューティー効果や、4Kフォトでの自撮り時に、より広角での撮影ができるなどの機能も追加されているが、注目すべきは三つ。Bluetooth v4.2の通信機能で、スマートフォンとの常時接続が可能となったこと。そしてファインダーの液晶が高精細化したこと、超望遠撮影時のためのズームバック機能が追加された点だ。ボタンを押している間だけ滑らかに広角側になり、周囲を見渡せ、指を離すと元の望遠側に戻るというズームバック機能の威力は抜群。これがあるだけで、TZ90とは別物だ。

超望遠でファインダーをのぞいていると、そのまま写真も撮れる電子望遠鏡という使い心地。電子ズーム併用では1440ミリ相当になるので、特にその感覚が強くなる。撮影画質に関しては撮像素子と画素数の限界は感じるが、レンズの光学性には不満もなく「なんでも撮れる&これ一台で十分じゃね?」という感じになる、なかなか危険なカメラだ。

写真・文=まつうらやすし
※アサヒカメラ2019年6月号より抜粋