また、フィルム時代からの高級コンパクトカメラには28ミリの単焦点レンズが搭載されている機種が多い。ニコン28Ti、富士フイルムKLASSE W、ミノルタTC-1、リコーGR1などがすぐに思い浮かぶ。デジタル主流の現在にあっても、富士フイルムXF10(実焦点距離18.5ミリ)、リコーイメージングGRIII(実焦点距離18.3ミリ)があるし、ライカQ2も単焦点28ミリレンズを採用している(106ページから実写リポートあり)。これが何を意味するか? 28ミリが広角レンズの王道であり代表格という認識を持つ人が、今なおたくさん存在していることにほかならない。
実のところ28ミリを使いこなすことができれば、24ミリや35ミリといった近隣の焦点距離のレンズは必要ないと思えてくる。パースペクティブはカメラアングルを工夫することで容易にコントロールできるし、大口径レンズであれば被写界深度のコントロールの幅は驚くほど大きい。28ミリという画角には万能性があるのだ。
写真・解説:赤城耕一
※アサヒカメラ2019年5月より抜粋