みきおさんの死因は「胸部刺創による心・大動脈損傷に基づく失血死」。

 前頭部、顔面、胸部、左右上腕、左太股などに無数の切創群があり、文字通り、メッタ刺しの状態だった。

 みきおさんの頭後部に、先端が折れた「関孫六(銀寿)」の柳刃包丁の残片が突き刺さった形で発見された。

犯行に使われた包丁のレプリカ(c)朝日新聞社
犯行に使われた包丁のレプリカ(c)朝日新聞社

 メッタ刺しの遺体北側には、みきおさんの動脈から噴出したとみられるB型の飛泡血痕が付着した段ボール箱が遺体を覆い隠すように置いてあった。

 その表面には頭毛をかたどった血痕がべったりと残されていたことから、みきおさんが力尽きて倒れたその場所にあった段ボールを犯人が後に移動させたとみられている。

 みきおさんの殺害状況について当初、捜査本部内でも見方が分かれた。

「みきおさんは2階にいて犯人と鉢合わせして刺され、階段下へ突き落とされたのではないかという見方が当初、あった。しかし、みきおさんは太股を下から上にかけて刺されていた。これは犯人が2階から下りていき、1階でみきおさんを襲ったことを物語っている。みきおさんのスリッパは階段途中で脱げていたが、2階へ逃げようとしたみきおさんを犯人が後ろから刺したとみられます」(成城署捜査本部元捜査員)

みきおさんの遺体状況を示すイラスト図(捜査本部DVDより)
みきおさんの遺体状況を示すイラスト図(捜査本部DVDより)

 浴室とトイレの間にある2階の廊下では、泰子さんとにいなちゃんの遺体が重なり合うように倒れていた。

 泰子さんの直接の死因は「心タンポナーゼおよび出血性ショック」となっている。解剖医の解説によると、これは泰子さんに向けられた刃が心臓を覆う心膜を貫き、心臓まで達したため、心膜腔内に320ミリリットルもの血液がたまり、鼓動を止めてしまった状態を示すという。

 だが、その遺体に残った無数の傷は犯人に刺されても刺されても、娘を守ろうと最後まで必死に戦い、力尽きた姿を浮き彫りにしていた。

 泰子さんの頭部、顔面、頸部、背中、右左上肢には無数の切創、擦過、打撲痕があった。

 血痕から犯人は、みきおさんをメッタ刺しにして先端が折れた関孫六の包丁を持って3階のロフト(屋根裏部屋)に上がり込み、ここで寝ていた泰子さん、にいなちゃんをいきなり刺したとみられている。

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最後まで生きていたのはにいなちゃん?