サブカルチャーが好きな一方で、矢沢永吉やデヴィッド・ボウイにも憧れていた。ただ、「そうなりたい」というよりは、YOSHIという存在を自分でプロデュースしているようでもあった。
YOSHIさんの訃報を聞いたとき、「表現」について話していたことを思い出した。
「よく、『YOSHIさんアーティストなんですね』と言われるけど、みんなアーティストですよ。たとえば会社員の人には、その人なりの経理のやり方がありますよね。それって自分を表現している。僕はその表現を表に立ってやっているにすぎない」
「いくつになっても、偉くなっても、常に謙虚で学ぶ姿勢があって、自分で吸収するんです」
そして、人前に立つアーティストとして、「吸収したことを世間に伝える」ことの大切さも話していた。自分の姿や言葉を見て、一人でも元気になってくれる人がいればうれしい、とも。
今後の夢はと聞くと、こうも返ってきた。
「夢はわからないけど、目標はありますよ。嘘のないものを増やしたい。SNSで何でも手に入った気になる今だからこそ、リアルなものを大切にしたいんです。僕、『死と狭間』って言葉がいいと思っていて。常に死ねる覚悟で、毎日を丁寧に生きたほうがいい。明日があるからいいやじゃなくて、明日がないから今どうしようと考える。人生は一回きり。こうしてインタビューしているのも、一つひとつの言葉はもう取り返せないですよね。今この瞬間にどれだけ全力でぶつかれるかというのは、とても大切なことだと思うんです」
そう語ったかと思えば、「すげー汗かいちゃった」「アツくなっちゃった。お腹空いた!」とこぼした。常に全力で、エネルギーに溢れたYOSHIさん。最近は、X JAPANのリーダー・YOSHIKIがプロデューサーを務めるボーイズグループオーディションプロジェクト「YOSHIKI SUPERSTAR PROJECT X」でボーカルとして合格するなど、新しい挑戦を始めたばかりだった。ご冥福をお祈りいたします。(編集部・福井しほ)
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