●熟女パブから熟女デリヘルへ 週3勤務で月収50万円

 夫が亡くなった当初は、蓄えと義母の年金などで何とか暮らしていたが、自宅の風呂をバリアフリー化するなど介護関連費用がかさみ、次第に経済状況が悪化。今から2年半前、櫻子は夜の仕事を始めた。

「自宅のある駅から近い大宮の熟女パブで、ホステスのアルバイトをはじめたんです。長いこと営業の仕事をしていたので、接客の仕事自体は特に苦もなくこなすことができました。でもね、お義母さんに夜ご飯を食べさせてから出勤するんだけど、とにかくその後が心配なのよ。昼はデイサービスもあるけど夜は1人きりでしょ。あるとき私が仕事中、部屋の中で転んで足首を骨折しちゃったの。それでもう夜の仕事はダメかなって。時給も1500円程度で安かったから、昼の仕事を探すことにしたんです」

 半年ほどでパブをやめた櫻子は思い切った決断をする。

「もう風俗しかないかなって。働く時間の融通も効くし、短時間でけっこう稼げるでしょ。お義母さんの介護もできて、ある程度のお金も稼げるはず。そう思ってこの世界に飛び込んだんですが、もう2年も経つんですね」

 現在、櫻子はデリヘルの聖地、東京池袋にある熟女専門店で“人気嬢”となっている。日中のみの週2~3回勤務で、平均月収は50万円ほど。1日当たりの売り上げでは店のトップクラスだという。

 同店のオーナーに彼女について尋ねると、「清楚な雰囲気なのに体はむっちり。熟女店では一番人気が出るタイプですよ。彼女の場合、ほぼリピーターの指名客だから、指名料もつくし、待ち時間のロスもない。もっと出勤してくれたらうちとしては嬉しいんだけどね」

 こうして櫻子の収入は安定したが、彼女はいまも「不安でいっぱい」だと語る。

「介護っていつまで続くかわからないから、精神的にすごくまいっちゃうのよね。夜中にお義母さんのオムツを替えているとき、ふっと絶望的な気持ちに襲われたりするの。今はまだ要介護2だけど、この先もっと重くなれば、自宅での介護にも限界がくるでしょ」

 そしてこう続ける。

「だから今は、施設入居用の費用を懸命に貯めているところ。最低でもあと3年はこのお仕事を続けたいけど、その頃はもう50歳。無事にお義母さんを施設に入れることができたとしても、今度は私自身の老後が不安よ。将来のことを考えると、暗くなっちゃうわよね」

●常連客から求婚され揺れ動く心

 義母の介護をしながら、その合間にデリヘル嬢として働く生活には慣れたが、ふとしたときにこみ上げてくる“寂しさ”が辛いと彼女は語る。

「ずっと介護と仕事ばかりで、生活に潤いみたいなものが全然ないんですよ。もうおばさんだけど、1人の人間としても、女としても、まだまだ人生をあきらめきれないのが辛い。ほんの少しだけでいいから、もう1度だけ幸せな生活が送りたい。このまま朽ち果てていくのが怖いんです」

 最近、そんな櫻子の心を揺り動かす出来事があった。

「常連のお客さんで、たまに外で食事することもあるお客さんから、“一緒にならないか”って言われたんです。もう還暦を過ぎた小太りのおじさんで、デザイン関係の会社の社長さん。外見は好みじゃないけど、すごく優しいのよね。だから今、どうしようかと悩んでいるところ。やっぱりこの先のことを考えたら、一人じゃ辛いなあと思って」

 さまざまな思いを胸に、今も彼女は、義母の介護と風俗の仕事をこなす日々を送っている。

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