「僕の実家も、妻の実家も、正月は帰省するのが当たり前と思い込んでいるけれど、帰る側からすると、人混み、跳ね上がった旅費と、負担が大きい。海外旅行に行けるぐらいの金額を投じて、わざわざ正月に帰省するのもバカらしくなります。共働きで普段忙しいからこそ、“正月ぐらい家でゆっくり休みたい”というのも正直なところ。親は“正月なら、実家に顔を見せて当たり前”という思いが強いので、どう伝えるかが難しい」(サトシさん)

■しんどいことはやめる提案を

 コロナ禍を経て、それまでの「当たり前」について、改めて意義を問い直す動きがあちこちで見られている。その流れから、「正月のあり方」についても見直すのは自然な流れかもしれない。

 せっかくの正月を無理なく楽しむには、“迎える側”“帰省する側”ともに、どんなふうに臨めばよいのだろうか。大前提となるのが、「こうしなければならない」という概念を取っ払うこと。正月なら“こうあるべき”という意識こそが、無理を生じさせる。誰もが気持ちよく過ごせるためには、“こうあるべき”という意識を、いったん脇に置くことが肝心だ。その上で、迎える側=祖父母世代、帰省する側=子ども世代と仮定し、それぞれが無理ないように過ごすためのコツを解説しよう。

 まずは祖父母世代。もてなす側の前提となるのは、見返りを求めないこと。「こんなにやってあげてるのに」となるなら、最初からやらないように心がけるほうが、結果的に互いにとって負担が少ない。『孫育ての新常識』などの著書で知られる、子育てアドバイザーのおやのめぐみ(小屋野恵)さんは言う。

「見返りを求めた途端、それは押し付けになります。後から“疲れたけど楽しかったね”と思えないようなら、いっそ迎えるのをやめたほうがいい」

 長年の過ごし方を変えることに抵抗を持つ人もいる。だが年を重ねる中で、祖父母世代もいつまでも同じように迎えられるわけではないのが現実だ。そこでおやのさんが提案するのが、言いづらいことであっても、本音で正直に話すこと。

暮らしとモノ班 for promotion
片づかない家が“片づく家”に!ママお助けのリビング、メイク、おもちゃ…を整理するグッズ20選
次のページ