「『さいはての中国』は、単純に地理的な辺境地帯だけを意味するわけではない」と著者は言う。「誰も気にとめず注意を払わない」部分にこそ中国の素顔があるとの思いでなされたルポだ。
第1章は近年急速に発展した都市、深セン(センは土へんに川)の「ネトゲ廃人」がテーマ。日本でもネットカフェに寝泊まりする若者が話題になったが、中国でも同じ光景があるという。借金を重ねながらネットゲームという刹那的な娯楽にひたる彼らは一見だらしなく見えるが、実は背景に「留守児童」などの社会問題があるそうだ。両親が出稼ぎに出たことで育児放棄などに遭い孤立した若者が流れ着いているのだ。
国家という巨大な枠組みの持つエネルギーと、それに押しやられて生まれる社会の歪み。その犠牲になる弱者。これは日本にも共通の課題だろう。
※週刊朝日 2018年11月16日号
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