暴力団幹部が足を洗い、うどん店を開業させるまでの奮闘を描いた一冊。

 男は幼い頃から親戚間をたらい回しにされ育ち、ヤクザになるべくしてなる。刑務所に入り、ヤクザが以前と姿を変えていることに疑問を持つ。ひとりの男の人生を通じて、社会とヤクザの距離の変化も炙り出す。

「暴排条例」が全国に広まり、暴力団からの離脱者は増えているものの、就職の受け皿がないのが現実だ。離脱後5年は組員扱いされるため、銀行口座も持てなければ、保険にも加入できないからだ。そうした中でも、男が全てを受け入れ、過去を隠すことなく、社会に必死に溶け込もうとする姿は印象的だ。

 著者は男の店が立地する商店街の反応も取材。暴力団は必要悪なのか。社会が暴力団にどう向きあうかを改めて突きつける。

週刊朝日  2018年10月12日号

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