靴卸業「アバンス」(東京都台東区)社長の田島良則さん。アルバイトを二つ掛け持ちし、会社を継続させようと頑張る。「国は中小企業に冷たい」(photo 編集部・野村昌二)
靴卸業「アバンス」(東京都台東区)社長の田島良則さん。アルバイトを二つ掛け持ちし、会社を継続させようと頑張る。「国は中小企業に冷たい」(photo 編集部・野村昌二)

■中小にも目を向けて

 自己破産が何度も頭をよぎったが、ついてきてくれる従業員や応援してくれる関連企業などのため何とか会社を継続させようと、2年ほど前から生花店とコンビニでバイトを始めた。生花店は午前中の週3日、コンビニは夕方から深夜零時まで週6日。そこで得られるバイト代、計月20万円のうち10万円超を会社に入れ赤字を補填し、残りは生活費に充てている。田島さん自身、今は会社から給料はもらっていないという。

「国は、中小企業は倒れたら倒れたままでいいと思っている感じがあります」

 同社がこれまで国から受けた支援は持続化給付金くらいで、特別貸付などに申請したが全て断られた。それでも、生き延びていけばチャンスはあると意欲を見せる。田島さんは力を込めこう言った。

「前を向いて頑張ろうとしている中小企業に、国はもう少し目を向けてほしい。頑張っている人たちが報われる優しい国になってほしい」

(編集部・野村昌二)

AERA 2022年12月26日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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