毎日使う調味料ですが「ちょっといいものに変えてみたい」と思っても、購入する際にはたくさんの種類があってどれを選んで良いものか迷ってしまいます。素材の味を楽しめたり、体にとって優しい調味料ってどんなものなのでしょうか?調味料の製法についてや選ぶ際のヒント、調味料を活かして美味しくいただくレシピなどをご紹介します。

たくさんあって分かりにくい?砂糖の種類

砂糖の原材料は一般的に「サトウキビ」と「てんさい(砂糖大根、ビート)」の2種類が基本になっています。他にもカエデの木から作る『メープルシロップ』、ナツメヤシからは『パームシュガー』などが作られています。
原料となっている「サトウキビ」は暖かい地方で栽培されており、体を冷やし、消化吸収が早いと言われています。一方、「てんさい」は寒い地方で栽培され、体を温め、ゆっくりと消化されるため血糖値の急激な上昇がしにくいと言われています。
形や白いもの、茶色いものなどの種類も製法により変わってきます。一般的によく使われている「サトウキビ」を原料に使った砂糖の製法をまずは見てみましょう。
サトウキビを使った砂糖の製法は、原料となるサトウキビを搾り、石灰などで不純物を沈殿させます。上澄み液を煮詰めたり真空で濃縮させたりして、水分を除去しただけのものが『黒砂糖』。黒砂糖はまだ精白されていない砂糖、「含蜜糖」になります。含蜜糖はサトウキビに含まれるビタミンやミネラルを含み、煮物などに使うと味が深まりコクが出ておすすめです。『白砂糖』は黒砂糖と同じように、サトウキビを搾ったり煮詰めたりして不純物を取り除き、「白下糖」を作ります。これを遠心分離機にかけ結晶と糖蜜を分離して「粗糖」を作ります。粗糖は白砂糖の原料で、日本で使用されている砂糖のおよそ2/3は海外からこの状態で輸入されています。粗糖を温水に溶かしたり、遠心分離機にかけたりして不純物(ビタミンやミネラルなどの栄養素も含む)を除きます。精製していく段階と結晶粒の大きさから呼び名がつけられます。

「使い分け」がおすすめ!

お菓子や飲み物、お料理と幅広くお世話になっている砂糖。色や形、呼び名も様々。砂糖の種類を少しお勉強してみましょう。実は用途によって使い分けると仕上がりが格段に変わるんです。好みや体質などで選んでみても良いかもしれません。
『黒糖・黒砂糖』 濃厚な甘みと強い風味が特徴。自然を利用した製法も多く、製品によって成分は大きく変わってきます。含まれているミネラル分が多いほどコクがあると言われています。塊をそのまま砕いたものをそのまま楽しんだり、粉末状になったものを飲料や料理に使用したり。かりんとうや飴などの材料にも使われたりします。
『キビ糖』 サトウキビ本来の風味とミネラルを活かしており、煮物や魚料理に使用すると素材の臭みなどが和らいでコクが出て美味しく仕上がります。色があるため、仕上がりが気にならない料理であれば幅広く使えます。ミネラル等も含まれているので健康志向の方におすすめです。
『上白糖』 日本の家庭で最も使われている砂糖で、一般的に『白砂糖』と言われているものです。結晶が細かく、しっとりしていて風味は柔らかく、仕上がりの色に影響しないので用途を選びません。
『グラニュー糖』 上白糖よりも粒が大きく純度も高く、サラサラとしていてクセがありません。香りの邪魔にならない砂糖としてコーヒーや紅茶などに使うのがおすすめです。クセのなさから幅広く使うことができます。
『白双(シロザラ)糖』 上白糖よりも粒が大きく、糖度が99.9度と砂糖の中でも最も高く、一般家庭ではほとんど使用されていません。カステラの表面についているアレ、といえば分かる方も多いでしょうか。熱に強く、水に溶けにくい特徴があります。綿あめやあんこ、飲料などに使用されシルクのような美しいツヤのある仕上がりになります。
『中双(チュウザラ)糖』 白双糖と同じくらいの粒の大きさで、黄褐色をしています。この色は表面にカラメルコーティングがされているためで、料理にコクを出す効果があり、まろやかな甘さとなめらかな仕上がりになります。また醤油との相性は抜群で、一度は試していただきたい砂糖です。煮物やおでん、佃煮、漬物、風味を生かしたスイーツなどに向いています。
『三温糖』 上白糖やグラニュー糖を取り出した後に残った糖液をさらに煮詰めて結晶にする工程を繰り返すため、特有の黄褐色や香ばしい風味があります。甘味を強く感じさせるため、コクを出したい煮物や佃煮などに向いています。
『粉砂糖』 パウダーシュガーとも言われます。グラニュー糖を細かく粉状にしたもので、デコレーションに使用されることがほとんどです。コーンスターチが混ぜられている製品もあるので原材料を確認してから購入しましょう。
『角砂糖』 グラニュー糖を四角く固めたもので、1個の重量が決まっているので計量に便利です。溶けにくいものが多いので、それに困らないお菓子や飲み物で使用されています。
『氷砂糖』 大きな塊で氷のような形状からこう呼ばれています。純度が非常に高く、ゆっくりと溶けるため、果実酒を作る際には最適です。そのまま飴としてエネルギーを摂取できるので、山などの携帯用食料や防災時の非常食にも有用です。
『顆粒状糖』 フロストシュガーとも言われ、粉砂糖を特殊な機械で顆粒にしたものです。とても溶けやすいため、ヨーグルトなどの冷たい食品に入れるのに向いています。また空気をよく含み、変色が少なく温度変化にも強いため、ホイップクリームやメレンゲに使用するととてもふっくらと仕上がります。
『液糖』 溶かすのにとても便利な液状の砂糖。ガムシロップや清涼飲料、ソースやタレなどの加工品に使用されることが多いです。
『和三盆』 徳島県阿波産と香川県讃岐産のサトウキビだけを使用して江戸時代から続く伝統的な製法で作られる、希少な、淡い黄色の砂糖です。上品な甘さと口どけの良さが特徴で、高級和菓子に多く使用されており、近年では洋菓子にも利用されています。スノーボールやフレンチトーストのトッピングなど、そのまま味わうことのできる料理におすすめです。製法から名が付いたので、その製法で作られたさまざまな産地のものも登場しています。
2大原料のもう一つ、『てんさい糖』
原材料のてんさいを細かく裁断し煮て糖分を抽出し結晶化します。あっさりとした優しい甘味で、どんな料理にでも合います。上白糖に慣れている人には物足りなさを感じる場合もあるようです。オリゴ糖が含まれていることからビフィズス菌を活発にする働きも期待できます。体内での吸収がゆっくりなため血糖値の上昇も緩やかです。

ちょっと変わり種!外国の砂糖

『パームシュガー、ココナッツシュガー』
ヤシ類の樹液から採取できる砂糖。血糖値が群を抜いて上がりにくい砂糖の一つで、ミネラルも豊富に含まれており、健康志向の人に人気があります。味はカラメル風味があります。ココナッツの風味が苦手でも大丈夫なクセのない甘味になっています。
『メープルシュガー』
北アメリカに生育する砂糖楓(メープルツリー)の樹液を煮詰めて作られています。シロップが一般的ですよね。カラメル風の独特の風味を生かして、そのままヨーグルトや飲料など、お菓子の生地などに練り込んだりするのがおすすめです。
『ブラウンシュガー』
欧米(特にアメリカやイギリス)の焼き菓子のレシピにこの名前がよく登場しますが、色味で『ダーク』と『ライト』に分けられ、求める仕上がりによって使い分けをします。日本の砂糖のような製法や材料での定義はないようで、「茶色い砂糖」=「ブラウンシュガー」と呼ばれています。
『カソナード』
フランスの代表的な砂糖です。精製度が高くないきび砂糖からできています。優しい甘さが特徴です。クレーム・ブリュレの焦げ目をつける砂糖もこの砂糖を使用します。
『パネラ』
サトウキビを原料にしたコロンビアの砂糖です。石のように硬い塊を叩き割って使用します。料理にももちろん、お湯に溶かして飲むこともあるそうです。
『マスコバド』
サトウキビを搾って煮詰めて自然乾燥させた、フィリピンの粉末状の黒糖です。ミネラルが豊富です。

パームシュガー作り
パームシュガー作り

砂糖の味比べをしてみよう!

砂糖の味を比べてみるために、簡単で、しかも材料もシンプルなパウンドケーキのレシピをご紹介します。
基本の材料の「砂糖」をいろいろなもので試してみてくださいね。
☆基本のパウンドケーキレシピ
<材料>
薄力粉 100g
砂糖 100g
無塩バター 100g
卵 2個
ブランデー(なくても可) 大さじ1
<作り方>
下準備 卵は常温に。バターをレンジや湯せんで溶かしておく。薄力粉はふるっておく。オーブンは170℃で余熱スタート。
1 ハンドミキサーを使って、砂糖を3回に分けて卵と混ぜる。
2 薄力粉を加える。ゴムベラで薄力粉をすくい、切るようにしながらゴムベラで混ぜる。ブランデーを入れる際はここで入れ、混ぜる。
3 溶かしたバターを3回に分けて加え、混ぜる。
4 型に入れ、空気を抜くように上からトントンと落として気泡を抜く。170℃に余熱したオーブンで45分程度焼く。
5 竹串を刺して、何もついてこなければ焼き上がりです。