平成も残り1年と少しとなった。そこで、平成元(1989)年の東京大、京都大、早稲田大、慶應義塾大の就職先と平成29(2017)年の就職先を比べてみた。就職先トップ30は民間企業と省庁で作成した。
【表】平成元年からこんなに変わった! 東大、京大、早慶の就職先トップ30の変遷はこちら
平成元年は“新いざなぎ景気”といわれるほど景気が良かった。この28年の間に、2度の大震災、バブルの崩壊、ITバブルの崩壊、リーマンショックで就職氷河期を何度も経験した。しかし、現在は2020年の東京オリンピックを控え、景気は上昇、大学生の就職も好調で、平成元年と同じく売り手市場になっている。
表を見てみよう。まず気づくのは、時代が変わっても就職者が多いのが銀行ということだ。平成元年には、早稲田大と慶應義塾大のトップはともに富士銀行だった。
東京大の2位が第一勧業銀行で、京都大の2位が三和銀行だ。今は名前がなくなった銀行が上位だった。そして、29年でも早稲田大と慶應義塾大トップがともにみずほFGで、東京大3位が三菱東京UFJ銀行、京都大5位が三井住友銀行。長らく就活で人気を保っているのが銀行だ。
平成元年の銀行は、統合が始まる前のものだ。そのため、現在は各大学の就職先としての銀行数が減っている。東大、京大が平成元年に9行に就職していたのが、今は4行に減った。早稲田大が7行から6行に、慶應義塾大が12行から7行に減少している。
平成元年当時には都市銀行と呼ばれる銀行が14行あったが、今はメガバンクに集約された。ただ、最近は信託銀行や新しくできたゆうちょ銀行が就職先に出てくるのが特徴だ。
銀行の採用人数を比較してみよう。みずほFGは第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が合併してできた。元年には東京大の3行への就職者数合計は96人だったが、29年のみずほFGには33人で、3分の1ほどに減っている。京都大は28人から23人、早稲田大は146人から109人、慶應義塾大は169人から146人に減少している。
ところが、採用総数は元年には3行合計で約1600人だったが、29年は1880人と増えている。採用のすそ野が広がっている。銀行は昔から大量採用なのが人気の理由でもある。今後、AIなどの活用で採用人数は減ると見られるが、銀行の人気は高いままだ。企業の採用支援を行っているワークス・ジャパンの清水信一郎社長がこう話す。