
「アガサ・クリスティーの小説はどれも常に新しい発明があり、キャリアを通じて彼女は探偵小説を進化させていった。全作品がプロットにひねりがあり、危険と言えるほど大胆だ。彼女をお手本に僕もこのジャンルをさらに進化させていけたらと思った。観客がローラーコースターに乗るような筋書きを導入したかった。犯人解明の面白さに加え、観客が心から楽しめて、満足感を感じられるような娯楽映画を僕は作りたかった」とジョンソン監督。
主演のクレイグにとっては、映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2021年)に続くコロナ禍以降の最新作となった。
「まず久しぶりにこうして会見で多くの人が一堂に会する機会が持ててとてもうれしい。本物の人間を相手に(笑)! 僕もクリスティーのドラマを観て育った。どれも豪華キャストで華やかな内容で。その雰囲気を作り出せたらと思った。ライアン(・ジョンソン監督)が作り出したのは、クリスティーが当時やった現代社会を風刺する世界観だ。作品が描く世界との同時代性を大切にしたスタイルも、クリスティー作品の伝統に基づいている。ミステリーだから観ている人は推理するわけだが、推理しながら同時に笑えるような作品だ」
米南部なまりの探偵ブランの人物像については、「人の生活に強い好奇心を持ち、その言葉に注意深く耳を傾けることが、彼の探偵としての最大の武器だと思う。人々は彼がとても興味を持ってくれるから、話をしているうちに奥底に隠していた秘密を打ち明けたくなるんだ」。
見せ場の一つ、探偵特有の長い台詞は「今回は自分の体のなかに思い切り叩き込んだ。覚えた後は、長いことを忘れリラックスして撮影に臨んだ。ライアンの脚本が面白く、リズムがあって彼の意図も感じられたのでやりやすかった。僕なりの解釈と演技を併せてバランスも取った。シリーズ1本目の時も同様だったが、長い台詞をカットして撮影することはしたくなかったんだ。自然な形にとどめておきたかった。短いと吹き替えの際に、国によっては言葉を付け加えることもある。そういう事態は僕にとって起きてほしくない悪夢だから、台詞の自然な流れを保つためにも、長い台詞を覚える必要があった」