グラフィックデザイナー、アートディレクターと聴いて貴方はどの様な職業をを想像するだろうか?



 この『たのしごと デザイン論』は、デザインの現場で活動を続けるカイシトモヤ氏によるデザインをフックにした"はたらき方"に関する本だ。



 本書は5章構成になっているが、一貫して書かれている事はコミュニケーションの話。人と人との付き合い方など、仕事はもちろん、そこに至る様々な関係構築の話を"デザインの現場"というシチュエーションを使って分かりやすく解説してくれている。それは「意識」だったり、「信頼」だったり、人と繋がって生きていく中で必要なことを分かりやすく教えてくれている道徳の教科書の様でもある。



 この本の中でカイシ氏は、"あなたはどうなりたいの?"と問いかけてくれているように感じられる部分が多く、もちろんデザイナーとしてデザインの仕事に取り組むという姿勢で書かれているものの、置き換えれば、学生は学生の立ち位置や進路に置き換えられ、転職したい、新しい事をはじめたい、という人が読むと、そのヒントが発見できる内容になっている。大学でも教鞭をとるカイシ氏の穏やかな人柄が、そのままに広がっている"大切な事"を教えてくれる一冊なのかもしれない。



 カイシ氏も「この本は、デザイナーはもちろん、学生、それ以外の今の職場に不満がある人や、仕事が上手くいっていない人にこそ、読んで欲しいです。」とのこと。グラフィックデザイナー、アートディレクターの前に、人と向き合いながら働いているからこそ見えてくる、楽しいはたらき方が見つけられる一冊となっている。