現在、社会は行き先が予測できない、不透明な時代にあると言われています。また、これまでの知識やスキルでは解決できない問題が山積しています。こうした不安定な世界で生き残る人材は、知識の丸暗記、つめこみ、偏差値重視に代表される従来の日本型の教育では育成できないことが諸研究によって分かっています。
また長い間日本の学校教育は、教師から生徒に一方的に知識を与える学習スタイルで、授業中に生徒が発言・質問することもなく(おそらく「許されない」)、また子どもたちがお互いに話し合いをしながら知識を深めていくといった学習法ではありませんでした。現在は少しは改善されたとは思いますが、基本的には同じような学習スタイルが主流であると思われます。
「偏差値は人の身長と体重と胸囲を足して割ったようなもの、何の意味があるのか?」
私が留学当時、指導教授から言われたこの言葉が今でも胸に深く残っています。だからこそ今、オックスフォード大学が誇る「自由な個性」を思う存分発揮し、あらゆる分野でイノベーションをおこし、人々を正しい方向へとリードしていく人材が求められています。
本書は私のオックスフォード大学での教育体験をはじめ、20年近くにおよぶ大学での教育実践、また実際に二人の子どもの子育てをした経験にもとづき、子どもを超一流の人物に育て上げるための学習習慣や役に立つスキルをたくさん紹介しています。
「自由な個性」を構成している5つのエッセンスは、「オックスフォード大学に留学しなければ身につかない」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。例えば、「人と比べず自分自身と比べさせる」「リビングにホワイトボードを置く」「子どもの肌感覚を信じる」「自然から美的感覚を養う」「子どもの気持ちに名前をつける」等々、日常の子育てのなかのちょっとした工夫で簡単に子どもの「自由な個性」を開花させる方法があるのです。
自分の子どもを「超一流にしたい」と願っている子育て中の方や、近い将来子どもをもちたいと考えている方々をはじめ、海外留学を希望している若者、また日本の教育について考えている方など、多くの方に手に取っていただけたら幸いです。