国立大学を目指していた長男が、センター試験で失敗し、浪人が決定的になった。これからは脇目もふらず勉強漬けの予備校通いだ。
私は息子が浪人したら、彼の気分を紛らわすためにも犬を飼おうと決めていたので、試験の結果にはがっくりしたが、ちょっとうれしくなった。15年前の1月のことだ。
飼うんだったらペットショップで売れ残った犬にしようと思っていた。自宅から車で40分ほどのお店に、もう半年も飼い手が見つからない犬がいるという。
会いに行ったら、その子犬はガリガリにやせて震えていた。人気のなくなった犬種とのことで、その子に決めた。黒くて耳が大きかったので、女の子だったがミッキィと名付けた。
長男は勉強の合間におなかに乗せて昼寝をし、気分転換に散歩した。次男はデートにまでミッキィを連れていった。夫は、座卓の上に置いたお弁当を漬物だけ残して食べられても怒らなかった。
15歳になっても相変わらずいたずらで、ごみ箱の中から犬用おやつの空袋を引っぱり出してなめている(写真)。怒られると仰向けになって降参してみせる。
最近は目が見えなくなってきたのか家の中でよくぶつかる。そして、日だまりで寝てばかりなので散歩に連れ出そうとすると、座卓の下に隠れてしまう。昔から散歩は嫌いなのだ。
長男が現役で大学に合格していたら出会わなかったミッキィ。その長男も結婚して、孫もミッキィを可愛がってくれる。家を出た次男も、ミッキィに会いに帰ってくる。
ミッキィはもうすぐ16歳だけれど、健康で見た目も若いと褒められる。
まさに残り物に福あり、家族みんなに笑いと幸せをくれてありがとう。長生きしてね、ミッキィ!
(河北敦子さん 埼玉県/61歳/主婦)
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